ユーザーを制御、または検閲可能なレイヤー2の是非
2025年01月18日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- ユーザーを制御、または検閲可能なレイヤー2の是非
- 総括
前提
本レポートでは、Soneiumユーザーを制御、または検閲可能なレイヤー2の是非について筆者の論考を述べます。
2025年1月に、ソニーがローンチしたEthereumのレイヤー2ブロックチェーン「Soneium」のメインネットがローンチされました。しかし、その初日にSoneiumがとったある対応によって、多くの混乱が巻き起こりました。
具体的には、Soneiumがユーザーの資産を事実上凍結したことです。新しいブロックチェーンでは、メインネットローンチ直後にミームコインが大量に発生することが予想されますが、Soneiumでも例外ではなく、ソニーに関連するキャラクターを基にしたミームコインが公開されましたが、これらはIPの使用許諾を得ていませんでした。
今回、翌1月15日には、これらのIP許諾が得られていないミームコインが次々とBanされました。Banされたトークンへの新たな購入や他のトークンへの変換ができなくなり、既に購入していたユーザーは損失を被ることとなりました。Soneiumはこの対応に関して、事前に「権利侵害に対するポリシー」を公開していたため、対応はそのポリシーに則ったものでした。
ただし、技術的に高度な知識を持つユーザーであれば、L1経由で取引を強制的に実行し、資金を取り戻すことが可能でした。Soneiumのようなレイヤー2における資産の凍結を回避するためのForced Transaction(強制トランザクション)という手法があります。
SoneiumはOptimismのOP Stackを利用しており、これはOptimistic Rollupの一種です。Optimistic Rollupでは、通常、L2のトランザクションはSequencerと呼ばれる単一のエンティティによって処理されます。しかし、Sequencerがトランザクションを検閲したり、ブロックしたりする場合、ユーザーはL1(Ethereum本体)から直接トランザクションを強制的に実行することでこの制限を回避することが可能です。これがForced Txと呼ばれる方法です。
SoneiumはOptimismのOP Stackを利用しており、これはOptimistic Rollupの一種です。Optimistic Rollupでは、通常、L2のトランザクションはSequencerと呼ばれる単一のエンティティによって処理されます。しかし、Sequencerがトランザクションを検閲したり、ブロックしたりする場合、ユーザーはL1(Ethereum本体)から直接トランザクションを強制的に実行することでこの制限を回避することが可能です。これがForced Txと呼ばれる方法です。
この対応に対する意見は賛否両論で、肯定的意見も否定的意見も暗号資産業界で分かれています。
反対意見では、ユーザーの資産を勝手に凍結するのはパブリックチェーンの理念に反すると批判されました。一方、肯定的な意見では、長期的に見れば有用なアプローチであり、ソニーが提供するRPCノード上での権利侵害拒否は当然だと主張されました。また、Vitalik Buterin氏はこの対応を肯定的に評価し、企業がユーザーに与える制御の度合いを細かく調整できるL2の有用性を示したと述べています。
混乱が起きた後、Soneiumの公式ブログでは、Banは一時的なもので、コンプライアンスが確保されれば制限は解除されると声明が出されました。
この一連の事案は、レイヤー2のブロックチェーンの検閲耐性を示す好例となりました。Sequencerがあるトランザクションを通さない等ということがあっても、少なくともOP Stackの一般的な仕様ではL1を通してForced Transactionを実行することができるので、ユーザーの主権が保たれているからです。(当該事案の詳しい参考スレッド)
Soneiumはソニーが主導するレイヤーあり、特にIPやクリエイターの知的財産権の尊重に力を入れています。今回の混乱が落ち着いた後、より明確なポリシーのもと秩序があるレイヤー2として繁栄することを個人的には期待したいです。
さて今回は本件をもう一歩発展させて筆者の視点でレイヤー2はどこまでユーザーを制御していいか、その是非や利点について考えてみたいと思います。
さて今回は本件をもう一歩発展させて筆者の視点でレイヤー2はどこまでユーザーを制御していいか、その是非や利点について考えてみたいと思います。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。