DeFiマーケットレポート【2024年7月】
2024年08月02日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- マーケット概況
- Total Value Locked (TVL)の推移
- レイヤー2
- レイヤー3
- DEX(分散型取引所)の取引量と流動性
- ステーブルコインの発行総量と市場占有率
- 新興DeFiプロトコルの現状
- TVL100万ドルを超えるDeFiプロトコルの1ヶ月変動率降順TVLランキング
- Amphor
- Toros
- DeSyn Protocol
- 総括
2024年7月のDeFiマーケットレポートです。本レポートでは、DeFi領域に特化して、その月に起こった重要な要点だけを網羅して解説します。
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DeFiの基礎講座シリーズでは、主要なDeFiプロトコル14カテゴリー38プロジェクトを紹介しています。2024年現在のDeFiエコシステムにおける全体像を把握したい読者におすすめです。
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マーケット概況
Total Value Locked (TVL)の推移
7月末時点でのTVL:約983億ドル(前月末:約945億ドル)
Lido、EigenLayerなどの主要なプロトコルでは、前月から10億ドル以上の流入がありますが、1ヶ月変動率での上昇は、Aave、Maker、ether.fi、JustLendのみとなりました。特に、Pendle、Ethenaの下落率は10%超えておりやや目立ちます。
Lido、EigenLayerなどの主要なプロトコルでは、前月から10億ドル以上の流入がありますが、1ヶ月変動率での上昇は、Aave、Maker、ether.fi、JustLendのみとなりました。特に、Pendle、Ethenaの下落率は10%超えておりやや目立ちます。
以下では、主要プロトコルの動向をまとめます。
LidoのCSMテストネットノードが200を超える
CSM(Community Staking Module)とは、一般のノード運営者ではないユーザー(ステーカー)が、ノードの運営者としてLidoに参加してもらうことを目的としたパーミッションレスな仕組みです。執筆現在では、EthereumのHoleskyテストネットで稼働しています。
従来は許可型でしたが、より幅広いノード運営者を誘致することでEthereumプロトコルの分散化を強化する一環としてアマチュアのソロステーキングをよりアクセスし易いものにします。対象は、ETH、stETH、wstETHを入れることができ、報酬はstETHで支払われます。担保にしたstETHの利回りも発生しますので、生のETHを担保にソロステーキングを行うよりも全体的に報酬が大きくなる設計です。
従来は許可型でしたが、より幅広いノード運営者を誘致することでEthereumプロトコルの分散化を強化する一環としてアマチュアのソロステーキングをよりアクセスし易いものにします。対象は、ETH、stETH、wstETHを入れることができ、報酬はstETHで支払われます。担保にしたstETHの利回りも発生しますので、生のETHを担保にソロステーキングを行うよりも全体的に報酬が大きくなる設計です。
CSMのノード運営は、Lidoによって開発されたUXを通じてアクセスでき、オンチェーンでのガス代も抑えられるといいます。ただし、ソロステーキングの知識がある程度前提になること、サーバーを常時稼働させ続けなければならないため、それでも全く負担が無いわけではないことに留意が必要です。
EigenLayerでのAVS報酬の配布開始のアナウンス
EigenLayerから、AVS(Active Validated Services)からの報酬が開始されるアナウンスがありました。ステーカーとオペレーターに報酬を提供するメカニズムを近々導入することになります。
AVSからの手数料報酬は、ステーカー(LRT)に9割、オペレーターに1割という配分になる予定で、より多くのAVSの検証作業にあたるオペレーターにリステーキング資産をデリゲートすれば、ステーカーはより多くの報酬を得られることになります。
AVSからの手数料報酬は、ステーカー(LRT)に9割、オペレーターに1割という配分になる予定で、より多くのAVSの検証作業にあたるオペレーターにリステーキング資産をデリゲートすれば、ステーカーはより多くの報酬を得られることになります。
ただし、デリゲートしたオペレーターがAVSの検証作業でスラッシングされれば、デリゲートした資産が失われるリスクがありますので、トレードオフがあります。
リステーキング報酬とスラッシングリスクが、どのようなバランスで均衡することになるのか、均衡した場合リステーキングは有望なETHの運用手段として妥当性があるのか、といったことが今後明らかになるはずです。
Ethenaの利回り付きRWAに対する準備資産割り当てを希望するプロポーザルの募集開始
USDeを開発するEthenaが、準備金資産の割り当てについてプロポーザルの募集を開始しました。既に、BlackRockのBUIDLやSteakhouse USDCが提案が行われています。
申請者は、EthenaにRWA(利回り付き資産)の割り当てを提案することが求められており、Ethenaの4,500万ドルの準備金と、USDeの2億5,000万ドルの割り当てを受ける資格を得ることができます。
関連レポート:Ethena/USDeの概要 合成ステーブルコインの急性成長要因と潜在リスク
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AaveのLido V3 マーケット
Lido V3 マーケットは、Aave V3上でstETHとwstETHに特化した新しいマーケットです。これは、ETHを担保にして借り入れを行う際の条件や金利を最適化するために設計されています。
stETHはAave上で最大の担保源であり、Ethereum V3市場全体の約30%を占めており、ユーザーはより有利な条件でETHを借りることができるようになります。具体的には、借入金利や担保化の条件が調整され、より効率的に利益を得られるようになります。
wETHの借入上限は供給されたwETHの90%に設定されています。初めの6ヶ月間、wETHの金利は2.50%(現在は2.7%)で、wETHのリザーブファクターは10%(現在は15%)に設定されています。これにより、stETHをループするための最も利益の高いプラットフォームとして機能するといいます。
新たなコントラクトのため利用には注意が必要ですが、stETHでのレバレッジファーミングをこれまでよりも効率よく行うことが可能となります。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。