ロールアップインターオペラビリティに取り組むプロトコル、Polymer・Omni Networkのアプローチ比較と考察
2024年03月30日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- 本レポートの目的
- ロールアップインターオペラビリティに取り組むプロトコル
- Polymer Labs
- Omni Network
- Polymer LabsとOmni Networkのアプローチ比較と考察
- 相互運用性規模の違い
- 採用するテクノロジーの違い
- 流動性の断片化へのアプローチの違い
- 総括
- リファレンス
前提
Ethereumは、スマートコントラクトを実行できる分散型プラットフォームとして広く普及していますが、そのスケーラビリティの問題から、レイヤー2ソリューションの開発が活発化し、RaaS(Rollup as a Service)がその展開を後押ししてきました。
スケーラビリティの問題の解決が進んだ一方、展開されたレイヤー2の独立した流動性や運用を背景に、インターオペラビリティ(相互運用性)の課題が浮上しています。この背景と現在の全体的な方向性は、以下のレポートに詳しいです。
この分断化された状態は、ユーザーと開発者にとって大きな障壁となり、レイヤー2エコシステム全体の成長を阻害する可能性があります。OpStackやPolygon CDKなどツール単位の相互運用性を実現する動きは進行していますが、それらツールの垣根を超えたインターオペラビリティには依然として課題があると言えます。したがって、レイヤー2間の相互運用性を実現することが、今後より一層、重要な課題としてキーワードとなるはずです。
本レポートの目的
そこで、本レポートでは、レイヤー2のインターオペラビリティに取り組むプロジェクトとして、
の取り組みを比較して考察します。
いずれもEthereumレイヤー2のインターオペラビリティに取り組むプロジェクトですが、そのアプローチは異なります。
投資家の視点では、インターオペラビリティの向上からある程度資金の流れとタイミングを予想しやすくなるはずですし、開発者・ビジネスの視点では、これらエコシステムの融合を前提にしたプロダクト開発を構想するなど、先行者優位を取るための参考とすることができるはずです。
また、ブロックチェーンをモジュール化して組成するモジュラーブロックチェーン構造の普及もあり、Ethereum上だけでなくCosmosなど、異なるブロックチェーン経済圏とのインターオペラビリティ、回遊性なども投資家、開発者の観点からのニーズがより高まる可能性があります。ただし、異なる経済圏が無闇に相互運用性を持つことの是非には議論の余地があるかも知れません。
このレポートでは、ロールアップインターオペラビリティの観点でインフラストラクチャとして注目される可能性のある2つのプロトコルの概要を解説し、今後の動向に関する筆者考察を展開します。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。