論考:X(旧Twitter)が、トークンを発行することは絶対にないとする理由を考える
2023年08月11日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- Xが多かれ少なかれ共有しているWeb3的精神
- X(旧Twitter)が、トークンを発行することは絶対にないとする3つの理由
- インセンティブはトークンがなくても成り立つ
- 影響力が大きい主体の公的責任は一部OSS化や技術によって改善できる
- トークン市場が小さすぎる
- トークン発行に合理的なケースとはなにか
- 総括
前提
本レポートでは、:X(旧Twitter、以下X)が、トークンを発行することは絶対にないとする理由を考えます。
Xの実質的支配者であるElon Muskは、8月にXは将来に渡ってトークンをローンチすることはないと断言をしました。
筆者としては、これはweb3の事業者や、あるいはweb2アプリケーションでもトークン発行を検討している事業者にとって興味深いケーススタディのように感じます。
なお、Xのトークン発行有無に焦点があたっていた背景としては昨年の2022年に同氏がXを買収前後、議論になっていた点として、恣意的なコンテンツモデレーションから透明性のある運営へ移行する必要性がよく話題になっていました。また創業者であるJack DorseyはTwitterの最大の後悔として「会社になってしまったこと」と挙げていました。このような背景から現XがWeb3的な運営をすることが一部で期待されていました。またElon Muskの買収によってパブリックカンパニーからプライベートカンパニーになったことで、トークン発行などの実現性が生まれたこともその期待をもたせた要因でしょう。
またトークンの発行はないと断言した8月に同じく、Xは収益の分配機能をスタートさせました。
収益を会社が独占せずにユーザーに分配するという発想もWeb3にありがちな設計で、Xの現在の運営方針は多かれ少なかれWeb3的な精神を共有していると思われます。しかしながらそれでもトークンは発行しないと強く断言しています。
本レポートではこの理由について考察します。プロジェクトの実現に本当にトークンをローンチするべきか否かを検討するケーススタディになることを目指します。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。