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Internet Computer Protocolの現状(2023年1月時点)と今後の展開

2023年01月12日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)

目次

  • 前回からの進捗
  • 1 HTTPアウトコール
    • 概要
  • 2 Bitcoin統合
    • 概要
    • 閾値ECDSA署名
    • Lightning Network ライクな ckBTC
  • 3 認証技術
    • Internet Identity
  • 汎用sMPC技術
  • 活発な開発
  • まとめ

前回からの進捗

1 HTTPアウトコール

概要

長く開発されてきた HTTPアウトコールが2021年9月下旬にNNSのプローザルが可決されて利用可能になりました。ブロックチェーン上からHTTPでリクエストを送ることが出来るのは史上初です。これまでオフチェーンの情報をブロックチェーン上のスマートコントラクトで扱うためにはオラクルと呼ばれるサービスを用いる必要がありましたが、ICでは外部サーバーへの直接通信が可能になりました。これにより、オラクルを用いることなく、より緊密に、細やかに、オラクルに比べてより低価格に、そして開発者にとってはより簡単に相互通信でコラボレーション等を行うことが出来ます。なぜいままでブロックチェーンでは不可能とされていた外部サーバーからのレスポンスに対するコンセンサス形成が可能になったかというと、各ノード間で受け取るレスポンスのタイムスタンプ等の微妙な違いを修正する変換関数を、開発者がプログラミング出来るようになったためです。このプロセスで生じる不一致になる可能性のあるプロパティを開発者が削除、または修正をして、ノード間のコンセンサス取得に結びつけられるようになったことが大きく寄与しています。
HTTPアウトコールが可能になることで、今までは不可能であった外部サーバー(Web2)に蓄積されている巨大なデータ群をICに取り込み、外部オラクルサーバーを経由せずにICのDappsで相互作用が行われることになるでしょう。価格は1リクエスト毎に40億Cycle(約60銭:1月現在)の基本料金と1バイト毎に数十万Cycleが加算されます。アウトコールを単体サブネットの複数ノードが実行するので、複数ノードでリクエストするため重複分高価になることは否定できませんが、オラクル経由よりも低コストになることは確実です。また、今回のHTTPアウトコールはMVP(Minimum Viable Product)であるため、実現はしていませんが、最下限ノードを「1」にして、Web2と同じ条件でアウトコール出来る「クォーラム機能」も将来実装される予定です。そのため、重複分を削減できるようになります。
IC独自機能のHTTPアウトコールを利用することで何が実現するのでしょうか?まず、オラクルに代わる強力なトラストモデルを実現します。現在、ほぼChainlink一強のオラクル市場にあって、ChainlinkがコケればすべてのDeFiがコケるようなChainlink自体が脆弱性となりうる状況であり、改善が期待されています。少なくともIC上で今後活発に取引されるであろうDeFi群は、HTTPアウトコールを独自に使うか、IC上に構築されるオラクルを利用することになるでしょう。また、ブロックチェーンが持つパブリックな性質を最大限引き出せる方法としての利用も可能になるでしょう。例として、IoT Dappsのセンサーデータを仲介者なしに、パブリックブロックチェーンに保存して利用することが可能になるとドキュメントに記載されています。
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