ERC721の技術的改善を概観する -ERC721A/R/O/PSI-
2022年05月06日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- ERC721A
- ERC721R
- ERC721O、ERC721PSI
- 総括
前提
本レポートでは、前回のOmnichain NFTに引き続き、NFTの技術的改善としてERC721A, ERC721R, ERC721O、ERC721PSIを解説します。
まずERC721の派生を見ていく前に、NFTの市場動向を見てみましょう。NFT市場は2021年のNFTサマーを皮切りに流行が続いていますが、市場としては横ばいです。Unique Active Walletを見ると、NFTサマー後の2021年10月からは人口は増加していないことが分かります(下図黄色線参照)。
またNFTのTrade Volumeを見ても、周期的に上下を繰り返しながらも横ばいになっていることが分かります。
この中でもNFT市場が盛り上がっているように見えるのは、キラーコンテンツと言えるNFTが度々注目を集めているためと思われます。代表的なものとしては、ERC721Aを発表したAzukiや、NFTを資金調達手段として確立したMoon Bird等が挙げられます。
Azukiを皮切りにNFTに使われているERC721の技術的な改善がいくつか提案されており、本レポートでその解説を行います。技術的な改善提案はNFTの発展に貢献しますが、Azukiの高騰をきっかけにERC721の改善がマーケティング手段として利用されている点が懸念されます。
【Executive Summary】
- ERC721Aは複数Mint時のgasを低減するが、実際はガス代が高騰するMint時ではなく後回しにする技術。
- ERC721Rは設定した期間でMint価格の払い戻しを可能にする技術。
- ERC721OはOmnichain NFTの課題を改善する技術だが、見えている課題を個別に解決しておりあまり包括的ではない。
- これらの技術を載せたNFTのマーケティング目的で使われる事もあるため、Mint前に他の情報も含めて調査が必要。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。