縮小するNFT市場と、RTFKTをめぐるEthereumの動き:NFTマーケットレポート【25年12月–26年1月】
2026年01月14日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 【前編】NFT市場はどこまで冷え込んだのか —— Ethereumを軸に12月〜1月初旬の動きを見る
- まとめ:Ethereum市場は冷え込んでいるが、「動く理由」を持つNFTは残っている
- 【後編】RTFKT売却の背景:ナイキの決断とCloneXに見る選別の現象
- NFTブームとナイキの参入、そして市場の冷却
- 新経営トップによる戦略転換とデジタル事業の見直し
- 「静かな売却」――ナイキがRTFKTを手放した理由
- CloneX急騰が示す選別──動く理由のあるNFTだけが動く
- 総括:ナイキの撤退が示すもの、そしてNFT市場の行方
2025年12月から2026年1月初旬にかけてのNFT市場は、データを見る限り、厳しい状態が続いています。出来高も取引件数も縮小が続き、「もう市場は動いていないのでは」と感じる人も多いでしょう。ただ、データをよく見ると、止まっているのは市場全体であって、すべてのNFTが同じように沈んでいるわけではありません。
今回のレポートでは、Ethereumを軸に、この「動かない市場の中で、どこだけが動いているのか」をデータから整理していきます。
前半では、出来高や取引件数の推移をもとに、この選別がどのように起きているのかを確認します。
後半では、ナイキによるRTFKT売却と、そのタイミングでCloneXの出来高が伸びた背景を掘り下げながら、この“選別”の正体をもう少し具体的に見ていきます。
後半では、ナイキによるRTFKT売却と、そのタイミングでCloneXの出来高が伸びた背景を掘り下げながら、この“選別”の正体をもう少し具体的に見ていきます。
【前編】NFT市場はどこまで冷え込んだのか —— Ethereumを軸に12月〜1月初旬の動きを見る
[文責:masao i]
2025年12月から2026年1月初旬にかけて、NFT市場の出来高と取引件数はともに縮小しています。数字だけを見ると、市場はほとんど動いていないようにも見えます。
しかしデータを細かく見ると、実際に起きているのは「全面的な停止」ではなく、「動く領域と動かない領域の分断」が急速に進んでいる状態です。
以下では、図表1〜3を使って、この分断がどのように現れているのかを整理していきます。
図表1:Bitcoinは一時的に跳ねるが、Ethereumを含め市場全体は低迷
図表1は、2025年4月から2026年1月初旬までのNFT市場の日次推移です。上段が出来高(USD換算)、下段が取引件数を、チェーン別に積み上げています。
まず大きな流れとしては、10月をピークに、11月以降は出来高も件数も明確に減速していることがわかります。特にEthereumの寄与が小さくなっていて、市場の中核がしっかり冷え込んでいる状態です。
12月末から1月初旬にかけてBitcoinチェーンの出来高が一時的に跳ねていますが、これは特定のBRC-20系NFTによる短期的なスパイクで、件数はほとんど増えていません。取引の広がりを伴わない動きなので、構造的な回復というよりは外れ値に近いものと見ておくのが妥当です。
一方でEthereumは、こうしたスパイクすらなく、出来高も件数もじわじわと低下し続けています。この期間を通して、「NFT市場の基盤そのものが弱っている」という状態が続いていることがはっきり見て取れます。
図表2:Ethereumの減速が、市場全体の縮小を決定づけている
図表2は、11月と12月を比較した月次の変化を、出来高(左)と取引件数(右)で示したものです。変化量の大きい上位5チェーンだけを表示しています。
ここで最も重要なのはEthereumの落ち込みです。
出来高は約1.21億ドルから0.99億ドルへと約18%減少し、取引件数は約48.9万件から27.2万件へと約44%も減っています。NFT市場の中心であるEthereumがこのスピードで縮んでいる以上、市場全体が縮小して見えるのは当然です。
PolygonやFlowなど、比較的安定しているチェーンもありますが、規模の面ではEthereumの減少を埋められるほどではありません。
これは「NFT市場が別のチェーンに移った」というより、「中心が弱ったまま、代替が育っていない」状態に近いと言えます。
図表3:市場は冷えているが、動くコレクションは確かに存在している
図表3は、直近30日間のEthereum上のコレクションを、「出来高(横軸)×取引件数(縦軸)×前月比の出来高増減(バブルサイズ)」で可視化したものです。
まず全体を見ると、ほとんどの点が左下に密集しており、PFPやアート系NFTの多くが、実質的にほとんど売買されていない状態にあることがわかります。Ethereum上であっても、市場全体の流動性は明確に細っていて、投機的な回転売買が成立しにくい局面に入っています。
その中で、実際に資金の動きが確認できるのはごく一部のコレクションに限られます。
その中で、実際に資金の動きが確認できるのはごく一部のコレクションに限られます。
ApeBondはDeFi系の権利NFTで、PFPの二次流通とは性質が異なり、ミント(プロダクトの利用)が出来高として計上されている部分も含まれます。ただそれでも、「この市場環境で実際に資金が動いているNFT」という意味では、例外的な存在であることは確かです。
MiladyはPFPですが、この弱い相場の中でも一定の流動性を保っており、「売買が成立しているPFP」の代表例になっています。
ここで重要なのは、PFP全体が回復しているわけではないという点です。起きているのは、冷え切った市場の中で、「まだ売買できると認識されたごく少数のコレクション」にだけ取引が集中している状態、つまり“選別の強化”です。
今回この後半でCloneXを取り上げるのは、単に出来高が増えているからではありません。
ただし、ここではまだ因果を断定せず、後編でニュースや時間軸、取引の構造を重ねて検証していきます。
まとめ:Ethereum市場は冷え込んでいるが、「動く理由」を持つNFTは残っている
12月から1月初旬にかけてのNFT市場は、Ethereumを中心に出来高も取引件数もはっきりと減少しています。PFPやアートNFTが広く回転する「市場」としての環境は、この時点ではほぼ失われています。
その一方で、ApeBondのようなDeFi型NFTや、Milady、CloneXのように「まだ流動性があると見なされた少数のPFP」には、資金が集中しています。
これはNFT市場が復活しているというよりも、「用途やストーリーを持つものだけが選別されて残り始めている」状態に近いと言えます。
これはNFT市場が復活しているというよりも、「用途やストーリーを持つものだけが選別されて残り始めている」状態に近いと言えます。
次の【後編】では、ナイキによるRTFKT売却と、そのタイミングでCloneXの出来高が動いた背景を掘り下げながら、この“選別”がどのようなロジックで起きているのかを見ていきます。
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