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Proof of Reserve|DeFiへの期待とノンカストディアルの課題を金融システムに求められる透明性から再考する

2022年11月17日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)

目次

  • Executive Summary
  • 前提
  • Proof of Reserve
    • Proof of Reserveの概要
    • Chainlinkが提供する仕組み オンチェーンデータの重要性
    • 単なるアドレス公開だけでよいのかという問題提起
  • オープンソースプロダクトの試み
    • DeFiLlamaが公開したCEXのTransparentダッシュボード
    • Duneでのボトムアップによるオンチェーンデータの取得と情報公開の動き
  • DeFiへの期待とノンカストディアルの課題
    • DeFiが期待される理由
    • DeFiをめぐる課題
  • 総括

Executive Summary

  1. FTX事件では、暗号資産取引所の流動性への不安という問題から、最終的に支払能力や顧客資産管理方法の問題へと発展し、ここからProof of Reserveの概念を再度考える動きが見られ、暗号資産を取り扱う事業者や各プロジェクトに対する透明性への期待が高まっている

  2. Proof of Reserveとは、ユーザーの暗号通貨を保持・管理する事業者が、ユーザーの残高(負債)の証明と照合し、その準備金残高に関する証明作業を行う必要があるという考え方や第三者によって検証されるその作業のことをいう

  3. 単にウォレットアドレスを公開し、ダッシュボードで準備金をユーザーが確認できることは、本質的に顧客資産の安全性を証明したことに繋がるのかは疑問視することができ、たとえProof of Reserveを行ったとしても懸念事項は残る

  4. オープンソースプロダクトによりCEXなどのオンチェーンデータの透明性に資する試みはあるが、オフチェーンの手続きや、他に公開していないアドレスを持っている場合、情報が不足または信頼できない可能性がある点に留意が必要である

  5. FTX事件は、まさにDeFiが補おうとしている金融システムの透明性と自己主権性にスポットライトを与えるものであり、そのポテンシャルに期待を寄せる声がある一方で、法令やテクノロジー上のリスク、オペレーションの複雑性の観点から個人はもとより事業者の導入には高いハードルがあるのが現状である

前提

本レポートでは、暗号資産取り扱い事業者の顧客資産の管理状況の動きに関連してProof of Reserveの概要を解説します。さらに、オンチェーンデータの重要性からみる従来のProof of Reserveに対する問題提起、オープンソースプロダクトツールの試み、ノンカストディアルな暗号資産の管理方法におけるDeFiへの期待と課題について整理することで、読者に暗号資産の管理における主体的な観点を提供します。
クリプトに関連する事業を行う暗号資産取引所やレンディング事業者などが、顧客預かり資産の準備高を公開する動きはこれまでもありました。ところがFTXが破産申請に至ったことに起因し、顧客資産の管理体制について投資家からの注目がさらに集まっており、取引所のみならずDeFiプロジェクトから積極的にエクスポージャーを開示する動きが活発になりつつあります。
FTX事件では、暗号資産取引所の流動性への不安という問題から、最終的には支払能力や顧客資産管理方法の問題へと発展していったことが特筆されるべき点です。このことから、Proof of Reserveの概念を再度考える動きが見られ、暗号資産を取り扱う事業者や各プロジェクトに対する透明性への期待が高まっています。FTX事件の概要、経緯などの詳しい情報は、以下のレポートで解説しています。本レポートはこの事件を前提にしています。
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