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Tornado Cashの制裁動向とビジネスへの影響

2022年10月21日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)

目次

  • サマリ
  • Tornado Cashとは?
  • Tornado Cashの制裁と暗号資産業界の反応
    • 1.OFACによるTornado Cashの制裁
    • 2.制裁に対する暗号資産業界の反応
  • Coin Centerの提訴について
  • ビジネス上にどのような影響があるか?
  • 総論

サマリ

Tornado Cashとは、Ethereum上でスマートコントラクトを介したミキシングサービスです。通常、Ethereum上ではウォレットアドレス間の送金はブロックチェーン上の履歴として記録され誰もが閲覧可能でありプライバシーを脅かされるリスクがあります。Tornado Cashのようなサービスを利用し、どのウォレットアドレスからどのウォレットアドレスへ送金したかを隠せるため、プライバシーを重んじるユーザーにしばしば好んで使用されています。一方、こうしたミキシングサービスは、テロ活動やサイバー犯罪などの資金洗浄の手段としてもしばしば利用されます。そして、一般ユーザーによる利用と、「望ましくない個人や集団」による資金洗浄とを明確に識別するのは困難な状況が続いています。
2022年8月8日、OFAC(the Office of Foreign Assets Control):米国財務省外国資産管理室(注1)によるTornado CashをSDNリスト(Specially Designated Nationals and Blocked Persons List):特別指定国民制裁リストへの追加を通じた制裁では、単にプロダクトをリリースする起業家や開発者という「個人もしくは組織」だけに留まらず、スマートコントラクトのアドレスそのものも対象となりました。
結果、不特定多数の匿名同士の利用を前提としたパブリックブロックチェーン上のプロダクト(dApps(decentralized Applications):分散型アプリケーション)の多くが、一部、テロ活動やサイバー犯罪などの資金洗浄に利用された、と言う理由で、制裁対象になる可能性が生じています。
上記懸念も踏まえ、OFACの制裁に対する反発の声やプライバシーが脅かされるリスクへの危惧の声も上がり、Coin CenterのようにOFACに対し、逆提訴する事例も出始めています。
今後、パブリックブロックチェーン上でビジネスを展開しようとする企業にとって、ユーザビリティを高めるためにローンチしたdAppsが「望ましくない個人や集団」にも利用されてしまい、各国の当局より制裁対象となるリスクを念頭に置く必要があります。
(注1) OFACとは、外交政策や安全保障上の観点から、特定の国や地域、個人や企業などに対して、取引禁止や資産凍結などの措置を講じることができる米国の政府機関

Tornado Cashとは?

Tornado Cashとは、サマリに記載しましたが、Ethereum上のスマートコントラクトを介したミキシングサービスです。ミキシングサービスとは、本論稿では、「不特定多数の送信アドレスと受取アドレスの間にスマートコントラクトなどが介在し、どの送信アドレスがどの受信アドレス宛に暗号資産を送金したかを追跡困難にする技術をベースにブロックチェーン上に構築されたサービス」と定義します。
Tornado Cashの内容詳細については、HashHub Research内に既にレポートがありますので、ご興味ある方は、以下リンクよりご参照ください。(※当該レポートは、Basicプランもしくは法人プランへご加入頂いている方のみ閲覧可能な点、あらかじめご了承ください。)

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