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国内法人がWeb3事業を進める際のポイント

2022年07月27日

目次

  • 国内法人がWeb3事業を進める際のポイント
  • 前提
  • 経営層とプレーヤーの温度差
  • 企業での具体的な課題
  • チームのサイズ
  • 総括

国内法人がWeb3事業を進める際のポイント

前提

本レポートでは、様々な法人の課題解決にかかわった経験から、クリプト事業を法人内で推進する上で気をつけるべき点と成功に必要なポイントを紹介します。
Web3というバズワードが注目を浴び、様々な企業がブロックチェーン技術を応用した事業への参入を検討しています。弊社でも金融、ゲーム、IPコンテンツ、コンサルなどのカテゴリの企業から相談を受けており、共通の課題とそれをどのように解決したかの知見を貯めています。その経験から、企業内の新事業としてブロックチェーンを扱う場合の失敗と成功のポイントを説明します。

[Exective Summary]
  • 法人でブロックチェーン事業をはじめる際には、経営層がWeb3事業を指示するトップダウン型と、熱意のあるスタッフがはじめるボトムアップ型、それが混じるパターンに分類される。
  • 前者はNFTの発行で終わるなど表面的な事業に陥りがちで、後者は経営層の理解にリソースのほとんどを費やし中々進まない。両方の要素を持つ企業は有意義な事業を進め始めている。
  • チームサイズも重要で、コアメンバーは2~3人程度にとどめ、後は様々な粒度で関わる有志を集める方が、組織のサイズやスピード感でもうまく行きやすい。通常の新規事業と似た面がある。

経営層とプレーヤーの温度差

HashHubリサーチでは法人プランを通して累計で70以上の法人をサポートしており、各企業の課題と解決策を通して多くの知見が集まっています。この界隈はスピード感が非常に速いために最新動向の把握に苦労している企業が多く、レポートを通してその情報提供と、集合知を使った壁打ちでビジネスプランや課題の解決を行っています。

HashHubリサーチの法人プランの詳細はこちらで説明しています。
https://lp.enterprize.hashhub-research.com/

また数年間の企業のサポートを通じて、企業のカテゴリや流行りのトレンドの変化を感じています。クリプト界隈でのNFTの流行が一段落付いた2021年末から国内企業の参入が本格的に始まり、2022年初頭からGameFiをターゲットにGame系の企業が、2022年4~5月からWeb3の流行に伴いコンサルや業種を選ばずに様々な国内企業が参入した印象です。

企業の参入は下記2パターンとそれが混ざった形がほとんどです。
  1. 経営層がWeb3の流行を目にし、トップダウンで新規事業部門がWeb3を調査する。NFTかDAOがテーマになる事が多い。
  2. クリプトに興味を持ち熱意のあるスタッフがボトムアップでブロックチェーン系の新規事業を行う。NFTやDAOに限らない事が多い。

割合は1.の方が多い印象です。1.で課題になるのは、経営層がWeb3をNFTやDAOの事と認識しており、特に目新しさの無い事業になる事が多いです。またスタッフもブロックチェーン技術に詳しいわけではないため、その歴史や経緯の把握から行う必要があり、理念や利点を深く理解する事が難しいです。利点は経営層からの指示なので事業が進みやすいですが、理解が深くないために既存のNFT系の事業などになる事が多く目新しさはありません。
NFT系の事業も、市場のほとんどがクリプトネイティブの中での資金循環なのにそこをターゲットにできないために、投下リソースに対してリターンが少なくなりがちです。
2.はスタッフが個人でもクリプトやブロックチェーンを調査しているため、1.に比べて深い事業の提案が可能です。ただ課題として、ボトムアップなので経営層の理解を得る事が困難で、特に理念や利点を説明するために過去の経緯から説明する必要があるため、その前提知識のインプットに時間がかかります。経営層の説得にリソースのほとんどを使う事になり、事業内容は目新しいが進みは遅くなります。
うまく行っている企業は1.と2.の両方が成り立っている事が多いです。スタッフがクリプトやブロックチェーンの理解があり、それに対して経営層はすべてに納得できずともGOをかける、少数ですがそのような企業は存在しており、目新しい事業に乗り出しています。

企業での具体的な課題

またGOをかける際に出る具体的な課題としては、秘密鍵の管理、NFTやBCG(ブロックチェーンゲーム)の法的観点があります。
企業でNFTなどを発行する際には秘密鍵の管理が必要で、盗難防止のために一人で管理するのではなくマルチシグ(複数人での署名)が必要です。ツールとしては下記のものがあります。

NFTやBCGの法的観点ではAMT社のメールマガジンやJCBAのガイドラインが参考になります。事業を起こす際には専門家に相談すべきですが、まずはこれらの情報を参考にするのもよいと思います。
AMT社のメールマガジン:https://www.businesslawyers.jp/articles/942
JCBAのNFTビジネスに関するガイドライン:https://cryptocurrency-association.org/nft_guideline/

チームのサイズ

また他に課題になってくるのはチームのサイズです。この件に限らず、ボトムアップで新規事業を起こす際には社内有志の巻き込みが必要です。新規事業に割り当てられるリソースは多くないので、社内の専門家の協力を仰いでビジネスモデルをたてる必要があります。
ここで出てくるブロックチェーン事業の課題として、持っている知識が有志の参入時期や熱意によってばらついてしまう事です。リーダーは知識を持っていますが、新規で入った有志はそうではありません。また有志が参入した時期や熱意によっても知識は異なるため、新規の有志に協力するコストが高くなり、知識を持っている層とそうではない層でチームが分断されてしまいます。
これを避けるためには、コアメンバーは2~3人にとどめて、協力者は熱意によって参加の幅を分けると良いと思われます。これはDAOに少し似ています。社内では報酬はないですが、その事業のビジョンやミッションに賛同し、社内での未来を作る経験が彼らの報酬になると思います。
私も複数回ボトムアップで新規事業を起こしたことがありますが、本業ではなく世の中を変えるような未来を作る技術に賛同する事は、それだけでモチベーションになります。彼らの熱意に応じたタスクを割り振る事によって、自分の専門外の分野もカバーできビジネスプランが作りやすくなります。またこの経験はDAO的なアプローチをする際にも良い経験になります。
ただ有志を集めるためには、新規事業のミッションやビジョン、なぜその技術に賭けているのかを分かりやすく説明する必要があります。ただブロックチェーンやNFTを良くは知らない人に説明するのはリソースがかかるため、苦労している企業も多いです。
また思想的な点は難しいため、入り口として一般層も聞いたことのあるNFTやSTEPN等から話をはじめ、徐々に難易度を上げる必要があります。またHashHubリサーチの法人プランではNFTやWeb3というバズワードのよくある誤解も含め、その説明も行っています。

総括

本レポートでは、法人でブロックチェーン関連事業をはじめるポイントを、様々な企業から相談を受けた経験からまとめました。成功している企業は経営層の理解と、ブロックチェーンに深い知識を持つスタッフのどちらかではなくその両方が必要です。またコアメンバーは2~3名にとどめ、そこに様々な粒度で参加する有志を集める必要があり、ここは通常のボトムアップ系新規事業と似ています。
このような経験則や秘密鍵の管理などは、専門家に協力してもらう事で時間の短縮ができます。様々なコンサルティング企業もありますが、HashHubリサーチも法人プランでサポートを行っています。下記ページで詳細の説明と、問い合わせフォームから無料レポートや無料相談を行ってますので、ぜひご検討ください。

※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。

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