米国ステーブルコイン規制の最新事情(2022年7月時点)

目次

  • 前提
  • 主な論点
  • 上院法案、Responsible Financial Innovation Act
  • NY州金融サービス局、Virtual Currency Guidance
  • USDT、USDC、BUSDの裏付資産と情報開示の状況
  • 総括
  • 付録
  • 出所、補足

前提

米国連邦規制当局および政策立案者は、2021年末以降、ステーブルコイン規制の整備に向け本格的な取り組みを行ってきました。今年5月上旬に起きたTerraUSD(UST)の崩壊とTether(USDT)の一時的なドル乖離は、議会でも注視され、規制の必要性が強調されています。
6月上旬、2つの重要な進展により、ステーブルコイン規制の大枠が見えてきました。
1つ目は、共和党と民主党が党派を超えて共同で提出した上院法案です。本法案は暗号資産を証券または商品に分類する基準など、デジタル資産の包括的な規制として注目を集めています。ステーブルコインに特化した条項もあり、決済用ステーブルコインの定義、発行者に対する規制、裏付資産の要件が示されています。これまで規制の対象外であったアルゴリズミック・ステーブルコインは、virtual currencyに分類され、規制要件の詳細が今後議論されると予想されています。
2つ目は、ニューヨーク州金融サービス局が公表したガイダンスです。裏付資産と情報開示の要件を明示した、ステーブルコイン規制ガイドラインとしては米国初のものです。ガイダンスの適用開始時期は今年9月と間近であり、規制対象にはステーブルコイン市場規模第3位のBinance USD(BUSD)が含まれます。
当局関係者や政策立案者から、今年中にステーブルコイン規制は成立する可能性があるとの声が挙がってきました。6月下旬には、大統領金融市場作業部会が開催されており、規制当局間の議論も最終調整の段階にあると期待されています。
規制成立に先駆けて、USD Coin(USDC)とBinance USD(BUSD)は、裏付資産について月次ベースで会計士の認証を受けています。今月からは裏付資産の詳細な内訳の開示も自主的に始めました。一方、Tether(USDT)の裏付資産は上院法案やNY州が指定する高品質な資産以外も含み、会計士による認証は四半期ごとです。
TerraUSD(UST)の崩壊後、ステーブルコインの安全性と透明性に対する市場の評価は厳しくなっています。こうした裏付資産や情報開示の違いは、シェア競争にも大きな影響を与えつつあります。
本レポートは、ステーブルコイン規制の枠組みを把握するため、規制における論点を再確認した上で、上院法案とニューヨーク州のガイダンスの内容を解説します。また、これらの規制要件を評価軸にして、上位3銘柄(USDT、USDC、BUSD)の比較分析を行います。
なお、現時点においてステーブルコイン規制は法制化されておらず、今後の動向は未確定なため、本レポートの情報は法律上または財務上の事業判断に使用するには適切でないことをご了承ください。

主な論点

ステーブルコイン規制のあり方について、これまで議論されてきた点は以下の通りです。
論点1:発行者に対する規制:発行者を銀行に限定するか、許認可制度の選択肢の幅について
論点2:安全性と透明性を高める仕組み:裏付資産と情報開示の要件の度合い
論点3:犯罪防止と国際社会の協調:国際的な規制の必要性について
なお、規制当局および政策立案者は、その流通総額と将来の決済手段としての可能性より、法定通貨担保型ステーブルコインに焦点を当てています。これまでの議論では、アルゴリズミック・ステーブルコインは対象外です。
論点詳細については、こちらのレポートをご参照ください。米国ステーブルコイン規制の最新事情(2022年5月7日)

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