ステーブルコインUSTの1ドルからの乖離とアルゴリズムステーブルコインの将来を考える
2022年05月11日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- ステーブルコインUSTの1ドルからの乖離
- 筆者のアルゴリズムステーブルコインの見解
- USTの問題はなんだったのか
- 1.高利率を訴求したAnchorでの成長戦略
- 2.準備金の資産バリエーションの問題
- 3.流動性プールの構築が遅すぎた
- 総括
前提
本レポートでは、5月から起こっているステーブルコインUSTの1ドルからの乖離について取り上げ、本件からアルゴリズムステーブルコインの将来を考えます。
ステーブルコインUSTは、最も大きい時点での時価総額$18Billion、この時点での暗号資産の時価総額ランキングは9位の大型のステーブルコインプロジェクトです。このステーブルコインの価格が崩れて、暗号資産市場全体に影響を与えながら混乱を大きくしています。
USTはステーブルコインでありながら裏付けとなる資産が担保されておらず、ガバナンストークンLUNAとそれを組み合わせたアルゴリズムで1ドルを維持する仕組みが採用されています。またそれは独自ブロックチェーンのTerra上で構築されています。USTを生成するには1ドル分のLUNAをバーンする必要があり、同様に1ドル分のUSTをバーンすればLUNAを生成できます。つまりUSTが1ドルより下に乖離していれば、USTをバーンして1ドルとLUNAを手に入れそれを売却することによってアービトラージが働き、それによって1ドルがペグされるという論理です。加えて最近ではBitcoinを中心としたアセットを準備金にして、上述のアルゴリズムが上手く作用しなかった場合においても買い支えができるようにバックストップを取り入れました。
以上が簡単なUSTおよびLUNAの概要ですが、基礎的な仕組みやこれまで発展してきた経緯などは下記のレポートでも詳しく解説しています。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。