ステーブルコインの競争 なぜDAIはUSTに抜かれたか(2022年版)
2022年03月27日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- 台頭するUST
- トークンモデルや新しい成長戦略検討するMakerDAOコミュニティ
- ステーブルコインの競争に関する考察
- 総括
前提
本レポートでは2022年時点最新のステーブルコインの競争を概観し、また後半では筆者の考察も付け加えます。なお今回のレポートで扱うステーブルコインとは、クリプトエコノミクスによって成り立つステーブルコインのみに限定し、USDCやUSDTなど中央集権運営主体のステーブルコインを除外して考えます。
これらの分野でのステーブルコインの首位は長い間、MakerDAOによって発行されるDAIでした。しかし2022年に入り総発行数はUSTが上回りました。
UST(Terra)はLUNAで発行されるステーブルコインで利回りが得られるAnchorをキラーアプリケーションとして昨年から躍進しています。またUSTには及びませんが、勢いのある新興ステーブルコインとしてFRAXなども挙げられ、DAIの供給量に対して1/10程度が流通しています。DAIを既に追い越したUSTや、それに追随する動きを見せる他のステーブルコインの共通点は何かしらの形で資本効率性がDAIより高いことです。DAIの場合は過剰担保モデルを採用しており、資本効率性が優れない点がありますが、新しいステーブルコインは何かしらの形で資本効率性を高めるモデルを採用しています。各ステーブルコインの基本的な仕組みはリンクしている過去レポートで解説しています。
今回のレポートでは、なぜDAIはUSTに抜かれたか、またDAI・MakerDAOでは今何が検討されているかを解説し、現在のステーブルコインの競争を理解することを目指します。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。