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円安時代に、暗号資産への投資と、USドルと連動のステーブルコインで新しい金融サービスを使う重要性

2022年04月09日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)

目次

  • 前提
  • 加速する円安
  • 円安がもたらす私達の生活への厳しい将来予想
  • 世界と繋がる暗号資産とパブリックブロックチェーン上の金融システム
  • 総括

前提

2022年に入り円安が加速しています。もちろん私達の多くは日本人で、また日本人の保有する資産の過半数以上は預貯金や保険であり、日本円に集中投資をしている状態なので、大きな影響があります。また資産を日本円に依存していないという読者についても、経済活動のそれなりの割合が日本に結びついているという人が多いと思われ、やはり大きな影響があります。
自国通貨の世界からの評価が大きく変動している中で、暗号資産やパブリックブロックチェーンを用いた金融サービスの役割はより大きいものになるだろうと考えています。本レポートでは、円安時代に、暗号資産への投資と、USドルと連動のステーブルコインで新しい金融サービスを使う重要性について解説します。

なお、HashHub Researchで配信される全てのレポートは、投資を助言または推奨するものではなく、情報提供と教育のみを目的としています。私たちのサービスを利用したことによる利用者の不利益や投資の損失については一切の責任を負えないことをご了承ください。お客様が本レポートで参照される暗号資産または関連するアセットに関して投資判断を行う場合は、事前にご自身でリサーチ及びデューデリジェンスを実施していただく必要があります。

加速する円安

冒頭の通り、急激な円安が進んでいます。
特に3月には急激に円安が進みわずか1ヶ月で約10%円がドルに対して安くなっています。

参照:https://info.finance.yahoo.co.jp/fx/convert/
本レポートを書いている時点でドル円は123年付近で攻防していますが、為替市場ではさらなる円安への進行の予想が多数派となっています。
円安の理由は1つに断定することはできず、市場の値動きなので単純な説明は出来ません。ですが、一般的な見解として大きく3つの理由に整理できます。

1.日本だけがゼロ金利

コロナショック以降、各国は経済を刺激するために類を見ない金融緩和をして、通貨の供給量を増やしてきました。しかし現在、アメリカやヨーロッパでは生活と経済活動は日常に戻りつつあり、それに伴い、金融政策もコロナ前の水準に引き戻そうとしています。
つまりは政策金利の引き上げ、増えすぎた通貨供給量の引き締めです。アメリカでは既に利上げが始まっており、2022年中にはさらに複数回の利上げが見込まれています。これはアメリカの経済が強く、アフターコロナを見込んでいるからこそ、中央銀行がこのような舵取りができます。
一方で日本はそれ程経済が強くありません。結果としてゼロ金利から脱することができず、先進国で唯一金融緩和を続けています。各国のマネー供給量は引き締めに向かっているにも関わらず、日本はそのような状況なので、相対的価格を表す価格レートである為替は円安に向かいます。

2.決済通貨としてのシェアは例年下がり続けている

国際貿易市場において、決済通貨としての日本円のシェアは下がり続けています。2021年12月の国際貿易市場での決済通貨のシェアは、人民元が日本円を追い抜きました。
12月の通貨別決済シェアで人民元は2.70で、日本円は2.58%です。ドル(40.51%)、ユーロ(36.65%)、英ポンド(5.89%)に次ぐ格好です。海外から元建て債券への投資が伸びていることなどが背景にあるとされ、人民元のシェアが高まっています。加えて、2022年3月からは中国は経済制裁を受けているロシアと強調する姿勢が見られ、今後は資源取引において、人民元のシェアはますます高まるでしょう。また産油国サウジアラビアと米国の関係は以前のようなものではなくなっており、サウジアラビアは対中国への原油販売は人民元を決済通貨とすることを公表しています。石油決済=ドル建てという時代はついに終わりを迎えようとしています。
いずれにしても、これは日本固有の事情ではありませんが、主要通貨として台頭する通貨が新しくある一方で日本円はますます存在感が薄まるでしょう。

3.そもそも国としての魅力がなく、通貨の価値が評価されない

第三が根深く、身も蓋もない話ですが、そもそも国としての魅力がなく、根本的に通貨価値の評価が見直されていると言えます。
多くの方にとって周知の通り、日本のGDPの成長率は先進国で最低です。
しかし日本の成長率の低さは今に始まったことではなく、それだけが即時に通貨価値として評価されてはいません。
日本円がこれまで有事の円として評価される場面があった理由は、世界最大の対外純資産国だったからです。また、その債権の最も大きな割合は米国債です。
しかし2022年1月には史上2番目の経常赤字が記録されました。原油をはじめとした資源価格の高騰で、日本の経常黒字を支える債権による第一次所得を上回る赤字幅を記録しました。
つまり資産があったはずにも関わらず、それを切り崩している状態になったと言えます。
そしてこれは1月の結果であり、その後3月以降、ロシアへの経済制裁が影響して、石油や工業資源の調達レートはますます高騰します。より付け加えるならば、それらは国際市場でドル建てで高騰しているにも関わらず、円安が進行しているので日本にとってはさらに高くなります。結果として通貨の魅力をさらに引き下げる悪いサイクルに入りつつある、と市場は評価して円安が進行しています。

円安がもたらす私達の生活への厳しい将来予想

前節までは円安というファクトと、それを市場がどのように分析しているかというあくまで一般的な考えをまとめています。もちろん値動きを後付して説明しているので、定量的ではない私個人の意見も含まれていますが、あくまで一般的にこのように考えられているという内容を示したつもりです。
それに対して本節では筆者個人の見解として、円安がもたらす私達の生活への影響、厳しい将来予想を述べます。免責しておきますが、あくまで私個人の予想であることと、今日時点での予想であることから、参考程度に留めておきたいことを注釈します。
まず第一に上述した円安の背景を考えると、円安のトレンドは短期で終わるとは筆者は今の所予想していません。それはひとえに示された3つの円安の理由が、いずれも簡単に解決するものではないからです。短期的に持ち直すことなどはあり得るでしょうが、3年から10年の長期の時間軸で円の価値はさらに下落すると考えています。
さて、これがどのように私たちの生活あるいは人生に影響するか考えてみましょう。
円安がさらに続くと輸入品、およびそれを原材料にした物価は高くなって円で収入を得ている人の生活は苦しくなります。物価高騰を背景にこれまで内部留保していた企業では人件費は多少はあがるかもしれませんが、生産性の低いこの国では全体として賃金はやはり上がりにくいです。つまり物価は上がるものの賃金が上がらないという悪性インフレ、スタグフレーションが起こる可能性があります。
スタグフレーションが起こるとほとんど全ての人が苦しいですが、ここでは日本の人口の1/3にあたる収入を年金で受け取る高齢者に関心を持ちたいです。この層は、収入が年金・つまり円建てで固定されており、その金額は上昇もしようがないので、最も打撃がある層の1つです。
インフレーションは、世代間の格差を是正する効果があるとも言われることがあります。高齢者の貯蓄が減価して、若者の購買力は相対的に増すからです。そういった良い効果も少しはあるかもしれませんが、私はより悪いシナリオを想像しています。
高齢者はこの国において最も政治に参加しています。つまりこの層に打撃があると、政府はこの層に対してバラマキ政策をする傾向にあります。最近では、政府・与党は、年金受給者を対象に5,000円の現金を給付することを検討していることが報道されていますが、このような政策がより目立つでしょう。
さてこの補助をするための財源を確保しなくてはなりません。経済成長をしていないこの国で、財源を確保する方法は2つしかありません。増税と国債発行です。
増税については、日本はすでに先進国で最高水準の税率にあります。これ以上高くすると、富裕層はさらに海外に移住し、企業が成長に投資できる資金は減少し、国全体の貧しさを加速させます。国債発行をするということは、上述した通り、世界に金融引締のトレンドと矛盾することになります。つまり円安を後押しして、さらなる貿易赤字やスタグフレーションを誘発します。当然それによって人々の生活は苦しくなるでしょうし、その悪いサイクルの行き着く先には、治安が良くて綺麗な日本はなくなっているかもしれません。もしかしたらそれは悲観主義的な表現かもしれませんが、既にこの国は失われた30年と言われており、それがさらに続いて合計して50年や70年も経済成長が止まったら、治安や清潔などを失うことに何の不思議もありません。
現在の為替と資源の市況と、高齢者に資金が分配されるこの国の現状からは、この展開は私には極めて現実的に思えます。政治の場で痛みを伴う改革もできず、かと言って国民による暴動も起こらないこの国は上述のようなことを20年くらいかけて続けるように思えてなりません。
正直に言えば「日本は緩やかに沈んでいく」と以前から思っていましたが、それが「どのように」沈んでいくのか解像度が最近になって鮮明になった感覚です。

世界と繋がる暗号資産とパブリックブロックチェーン上の金融システム

さて私はここで自国の悲観的な未来をただ論じたり、悪口を言いたいわけではありません。とは言いながらも、私は国レベルの経済活動に影響が与えられるはずもなく、かつ起業家でありながら「世界を変える」と豪語するタイプでもありません。ただし自分が手の届く範囲、影響力が行使できる範囲で、悲観的な未来に何かプラスに働くことをしたいとは強く思っています。
それが暗号資産とパブリックブロックチェーンの重要性に繋がります。このような悲観的な未来において、これらのイノベーションが同時に存在しているのは不幸中の幸いであると言えます。
前者はいわゆるBitcoinやEthereumです。これらは新しいお金でもあり、インターネット上の資源です。投資にも使えて、少し使いにくいですが日常決済にも一部利用できます。ゆくゆく専用のデビットカードの普及などで決済でもさらに使いやすくなるでしょう。これらは直近10年で最も成長したアセットクラスであり、あるいは今後十年に渡っても最も成長する可能性があります。そしてマネーシステムあるいは価値の保存の観点ではある側面で、私たちが使っている日本円より優れている部分が確実にあります。
悲観的な未来においても、個人はなんとか生きていかなければいけないので、少しばかりのBitcoinを持ち、自分の資産を管理することが重要になります。アメリカでは人口の16%がすでに暗号資産の保有経験があり、これらの新しいアセットは特に新しい世代に対して、むしろ株式などより触れやすい可能性があります。この点も日本の厳しい未来を生きるこれからの世代にとってポジティブな側面です。
2つ目は、パブリックブロックチェーン上の金融システムです。いわゆるDeFiと呼ばれるもので、パブリックブロックチェーン上のスマートコントラクトで稼働するこの金融システムは世界と繋がっています。パブリックブロックチェーン自体が世界とパーミションレスで繋がっているネットワークなので当然です。これらの凄い点は「誰でもアクセス可能なブロックチェーン上のステートに金融の流動性が存在すること」です。すでにパブリックブロックチェーン上の金融システムを触ったことがある方ならご存知の通り、これらのシステムを通せば、非常に簡単に対外市場(もはや無国籍市場と言ったほうが正しい)に投資ができます。
日本は資産がある国ではないため投資活動を注力するべきですが、経済成長をしていないこの国には自国に有望な投資市場はありません。例えば対称的に金融マーケットでは米ドルのインカムゲインが5-10%で推移することがあります。勿論それは新しい未成熟な市場である背景も影響していますが、だからこそ世界とより気軽に繋がれる新しい金融システムは我々にとって重要です。この新しい金融システムは直接スマートコントラクトを個人が使うことができますし、金融機関などを通して間接的に恩恵を受けることもあるでしょう。

総括

私たちHashHubは、暗号資産の市場や技術をリサーチするサービス「HashHub Research」や暗号資産で資産形成ができる「HashHub Lending」を提供しています。これらの背景において、私たちのサービスが提供できる役割はこれまで以上に大きくなるはずです。
HashHub Researchはこういった世界における地図、HashHub Lendingは自動運転のようなものをイメージしています。これらのサービスを通して、資産や時間に余裕をつくれて決して明るくないかもしれない未来を強く生きたり、あるいはそういった未来を少しでも良いものにする人が増やせれば良いと考えています。

HashHubについて
株式会社HashHubはブロックチェーン技術に特化しプロダクト開発、調査・コンサルティングを行っています。東京大学周辺エリアを拠点にブロックチェーンのスタートアップ・開発者が集うコワーキングスタジオHashHubを運営。日本と海外、また他業界をつなぐハブになることを目指し事業を展開しています。
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