Polkadot/KusamaのParachainオークションの仕組みと、 DOT・KSMトークンの性質を理解する
2021年06月09日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- Parachainオークションはなぜ行われるか・スケジュール
- Parachainオークションの仕組み
- ICOとの設計の違いとPolkadotの性質を理解する
- 総論
前提
本レポートでは、PolkadotおよびKusamaで行われるParachainオークションの仕組みについて解説します。
Polkadotは複数のブロックチェーンを相互接続するネットワークです。Relaychainという中心的なネットワークが核になり、各々が独自に機能するParachainがそれに接続して、相互運用性を持つというコンセプトです。
Relaychain:
PolkadotおよびKusama
Parachain:
独自ブロックチェーン開発フレームワークSubstrateで開発された様々な独自ブロックチェーン
Relaychainの役割は、接続されているParachainにセキュリティを提供し、チェーンをまたいだ取引が安全に行われることを保証することと、接続されたParachain間の相互運用性を実現することです。
一方、Polkadotエコシステムを充実させるアプリケーションの開発などはParachain上で行われます。それぞれのParachainには独立したルールや仕様がありますが、Relaychainを介して他のチェーンとの相互運用が可能です。またBitcoinやEthereumなどの外部ネットワークに接続して通信できるようにするParachainをBridgeと呼びます。
しかしながら、PolkadotおよびKusamaのRelaychainに全てのParachainが接続できるわけではありません。限られたスロット(枠)が設定されており、各ブロックチェーンがこの枠を獲得するための競争がParachainオークションと呼ばれるものです。
PolkadotにおけるICOのようなものだとも表現されることもあり、DOTやKSMのトークンホルダーにとっても影響が大きいトピックです。(実際にはICOとは異なります。)
今回のレポートでは、このParachainオークションの仕組みを解説し、またそのうえでDOT・KSMトークンの性質を理解することを目指します。
なお、本レポートでは、以後PolkadotのネットワークにおけるParachainオークションを解説しますが、基本的に内容はPolkadotもKusamaも変わりありません。KusamaはPolkadotのブロックチェーンのコピーであり、仕組みは一切変わりなく、本レポート中でPolkadotと書かれている部分は全てKusamaと読み替えても意味は変わりません。
なお、Parachainオークションに限らない、Polkadotの基本的な仕組みについてはこちらのレポートを参照してください。
Parachainオークションはなぜ行われるか・スケジュール
まずParachainオークションの仕組みについて解説する前に、そもそもParachainオークションがなぜ行われるかについて解説します。
PolkadotのRelaychainには複数の独自ブロックチェーンがParachainとして接続するとすでに説明しました。独自ブロックチェーンは、Parachainにならなくてもアプリケーション開発ができてユーザーは利用できます。しかし、PolkadotのRelaychainとなるメリットは、セキュリティと相互運用性があります。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。