日本国内における前払式支払手段のステーブルコインの実態と収益モデルの理解

目次

  • 前提
  • 決済サービスの類型と前払式支払手段の基礎知識
  • 代表的な前払式決済手段ステーブルコインのJPYC
  • 前払式支払手段のステーブルコインの収益モデルの考察
  • 総論

前提

本レポートでは、日本国内の前払式支払手段のステーブルコインの実態や収益モデルについて解説します。
すでに国外ではステーブルコインは非常に一般的になりつつあります。2021年5月時点で総額$93 billion(約10兆円)の時価総額のステーブルコインが流通しています。
参照:https://www.theblockcrypto.com/data/decentralized-finance/stablecoins
アメリカにおいてはステーブルコインの発行体を監督する規制として、ステーブルアクトという法案が議論されています。その骨子は、ステーブルコインの発行者は銀行業ライセンスを取得する必要があること、ステーブルコインの発行者は、発行されたすべてのステーブルコインを必要に応じて米ドルに変換できるように、FDICの保険に加入するか連邦準備制度に準備金を維持しておかなければならないなどが盛り込まれています。
しかしながら日本国内ではステーブルコインはほとんど存在していません。規制の方向性が明確になっていないためです。GMOが展開する円建てステーブルコインGYENは日本居住者への流通は行っていません。GYENにおいては、発行体となる子会社GMO Trustをアメリカ拠点に設立して、ニューヨーク州金融サービス局より監督されています。
こういった停滞を背景に日本国内では、前払式支払手段の枠組み内でステーブルコインを発行する動きも出てきています。具体的な事例としては、JPYC株式会社が発行するJPYCが該当します。
本レポートでは、この枠組み内で発行されるステーブルコインの実態を理解することを目的とします。

決済サービスの類型と前払式支払手段の基礎知識

まず、本題に入る前に、決済サービスの類型と前払式支払手段の基礎知識について触れます。

前提知識について決済サービスの類型

決済サービスの類型として大きく2型存在します。
①資金移動業
資金移動業とは、銀行以外の事業者が行う少額の為替取引を業として営むことを指します。為替取引とは、判例上、顧客から隔地者間で直接現金を輸送せず資金を移動する仕組みを利用して資金を移動することを内容とする依頼を受けて、これを引き受けること、又はこれを引き受けて遂行することとされます。後述する前払式支払手段との大きな違いとして、資金移動業者に該当すれば資産保全義務などの義務が課され、同時に金融庁登録が必須になります。資産保全義務などの義務とは具体的に、送金サービスで受領した金額の100%以上の額の供託です。
例:PayPal、PayPayマネーなど
②前払式支払手段
前払式支払手段の発行業務とは、プリペイド型の支払い手段を発行する業務をいいます。簡単に言えば、「この店で○○を購入できる商品券」です。
上述の資金移動業と比較して、手続き上簡単に発行できる特徴があります。
例:Amazonギフト券、itunesカード、メルカリのポイント

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