米国やFATFの暗号資産規制および、 規制に準ずる暗号資産企業の制裁事例など重要な動向(2021年上半期版)
2021年01月06日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- トラベルルール
- 米財務省FinCENによるウォレット規制
- 米国内でのステーブルコインの取り扱いを定めるステーブルアクトなど
- 適格機関投資家の範囲拡大
- SECによるBTCとETH以外の暗号資産カストディの方針発表
- 米国規制当局による民間企業の制裁
- SECによるRippleの提訴
- 米司法省(DOJ)と米商品先物取引委員会(CFTC)によるBitMEX告発
- 総論
前提
本レポートでは、米国やFATFの暗号資産規制および、規制に準ずる重要な動向について取り扱います。
金融規制の観点では米国の規制は極めて重要です。これはテロ対策に含まれるマネーロンダリングの防止などを理由に米国が他国の金融機関や企業にまで介入できるためです。加えてそれに従わない場合、米国内企業に当該企業や当該国と取引をすることを禁じる制裁を行えるためです。
また、マネーロンダリング対策における国際協調を推進するため設立された政府間機関であるFATFは、マネーロンダリングに関わる金融規制のグローバル標準を提案しており、こちらもまた重要な意味を持ちます。FATFはマネーロンダリングとテロ資金供与防止対策のガイダンスを公表しており、それ自体は法的拘束力を持たないものの、主要国はそのガイダンスを前提にして規制を施行することになります。
今回のレポートでは、2021年1月時点で今後施行予定の規制、および議論段階の米国やFATFの暗号資産に関連する規制について、特に重要なものを取り上げて解説します。議論段階の規制については数カ月後や半年後に大きく動向が変わっていたり、議論そのものがなくなっていたりする可能性もあるためそれを念頭に読んでいただければと思います。加えて規制以外では米国による個別企業への制裁事例なども概観します。
また、議論段階の規制を含めるとすべては取り上げられないことから取り上げる対象は筆者による判断で重要なものに絞っていますが、事業者に影響を与える規制動向をなるべく網羅的に解説しています。
なお、筆者は法律に関する専門家ではないことを改めて免責しておきます。事業者の方が本レポートを元に意思決定を行った場合の不利益の一切を弊社は責任を持たないとともに、規制や会計基準の専門家の方々におかれましては本レポートの内容が事実と異なるものであった場合にはぜひご指摘をお願い致します。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。