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Security Matters Ltd.|「循環型経済」志向のブロックチェーンレコードと独自デジタルツイン技術

2021年05月13日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)

目次

  • 前提
  • Security Matters Limitedの概要
  • SMX社のトラック&トレースシステムと主要技術
    • 1.)  Marker(分子レベルの微粒子)
    • 2.) Reader(独自の読み取り機)
    • 3.) ブロックチェーン
    • SMX社のトラック&トレースシステムはどのように機能するか
  • SMX社のビジネスモデル
  • ユースケース
    • 1.プラスチックとパッケージ
    • 2.貴金属および石
    • 3.植物
  • 総論

前提

本レポートでは「循環型経済」志向のブロックチェーンレコードと独自デジタルツイン技術の開発を進めるSecurity Matters社を概観します。
Security Matters社は独自のケミカルマーカーを用いた物理的な原材料や製品のデジタル化とそれらデジタル化されたデータをブロックチェーン上に記録し、その真正性を担保するということを行っており、大きく「トラック&トレース」と「認証システム」の2つの分野にまたがる事業を行っている企業です。
出典 "90 seconds podcast,SMX":https://smx.tech/technology
同社のトラック&トレース技術はイスラエル政府の研究開発機関であるSoreq Nuclear Research Center(以下Soreq)が開発した初期技術を商業化したものであり、バーコード、QRコード、RFIDタグ、NFCなどの従来の競合技術とは異なり、原材料そのものに識別コードとしての分子レベルの粒子を練り込む、または塗布することでその原材料、または製品を分子の配列で識別可能にするという特異性のある独自技術を用いています。
バーコードやQRコードなどの従来のトラック&トレース技術は低コストで物理的な原材料や製品をデジタル化して追跡することを可能にするという利点がありますが、一方で偽造が容易であることはユースケースによっては課題視されます。またトレーサビリティの透明性を高めるためにブロックチェーンを併用する場合にオフチェーンにある物理的なモノを安全にオンチェーンにブリッジするデジタルツイン技術が重要視されますが、同社競合となりうる多くのブロックチェーンスタートアップがサードパーティのテクノロジーに依存するのに対して、同社は独自のトラック&トレース技術を用いているという点が特異な点として注目されます。
同社のようなトレーサビリティ向上を狙った技術開発は以前は偽造防止の文脈でその必要性を謳っていましたが、近年は偽造防止技術としての背景も残しつつも循環型経済(Circular economy)という切り口でその必要性を謳う場面が多くなってきている印象を受けています。同社もまた同じ切り口のtoB向けのビジネスモデルで事業を展開しており、注力する市場としてプラスチック、貴金属(ゴールド、ダイヤモンド、その他鉱物)、エレクトロニクスを挙げていますが、そのほかオーガニックコットンなどへの応用も展開しており様々な市場におけるクローズドループの仕組みの実現を目指しています。
本レポートではSecurity Matters社の概要、同社技術の解説、ユースケースの紹介を行います。

Security Matters Limitedの概要

Security Matters Limited(以下SMX社)は偽造防止、ブランド保護、トラック&トレース市場に対応する次世代ソリューションを開発するオーストラリア証券取引所(ASX)上場企業です。前述したように2020年以降は循環型経済の文脈で注目され、循環型経済への移行を目指すクライアント企業を対象にした産業ソリューションを提供しています。
SMX社は2018年5月16日に設立されたイスラエル企業ですが、前述のようにオーストラリア証券取引所(ASX)に上場しており、以前のSecurity Matters Israelの全株式をASX上場前に取得して完全小会社にしています。同社はHaggaiAlon、David Rosenblatt、Ed Hoflandの3人の共同創設者によって設立されています。
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