自動車業界におけるトレーサビリティ、サプライチェーンに焦点を当てたブロックチェーン活用の概況
2020年10月13日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- 鉱物産業の現状とRSBM(Responsible Sourcing Blockchain Network)
- Volkswagen AG
- パブリックブロックチェーンをベースとしたMinespiderのソリューション
- Daimler Mobility AG
- Icertisと共同でサプライヤー契約管理ソリューションのプロトタイプ開発
- コバルトサプライチェーンにおけるCO2排出量の透明性確保
- Volvo
- BMW Group
- ブロックチェーンベースのトレーサビリティシステム「Partchain」
- Tesla Inc
- Group Renault
- ブロックチェーンベースのサプライチェーンソリューション「XCEED」
- 総論
前提
本レポートでは自動車業界におけるブロックチェーンの主要ユースケースであるトレーサビリティ、サプライチェーンに焦点を当て、業界内の各ブランドが原材料調達や生産工程でブロックチェーンを用いる事例をいくつか紹介します。
製造業におけるサプライチェーン全体のトレーサビリティを実現する目的は諸々ありますが、そこにはサプライヤー間の取引コスト削減の他に、規制上の課題解決、企業に求められる倫理観といった新たな習慣も関与します。
特に、その原材料はどこから来ているのか?そのサプライヤーはどのくらい信頼できるのか?現地の労働者の状況はどうなっているのか?これらの疑問が消費者だけでなく、投資家、企業からも投げかけられるようになってきたことで、「透明性の高いサプライチェーン」の重要性が増してきていると考えられます。
また透明性の高いサプライチェーンに関連して、「サステナビリティ(持続可能性)」も製造業界において重要な分野であると認識されています。主に欧州を中心としたグリーンリカバリーの動向をはじめ、消費者の購買意思決定にサステナビリティは大きな役割を果たすとともに、このテーマに関して大企業は大きな責任を負っており、さらに市場もこの方向に強く動いています。例えば投資家は、あるビジネス慣行がどのように持続可能であるかについて、より具体的に問いかける場面が増えてきたのではないでしょうか。
サステナビリティとサプライチェーンの透明性は切っても切れない関係にあり、ブロックチェーンベースのデジタル化はこの点で全く新しい可能性を提供するのではないかと期待されています。
本レポートでは、透明性の高いサプライチェーンが求められる背景を理解するために原材料調達における「責任ある調達」を促すRSBNをまず概説します。その後いくつかの自動車メーカーが取り組むサプライチェーン、トレーサビリティに焦点を当てたブロックチェーン活用事例を取り上げ、その動向を概観します。また本レポートは、業界の動向を概観することを目的とするため、個々のプロジェクト詳細には触れません。詳細は各プロジェクト要約の末尾に記載しているURLをご参考ください。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。