世界最大のクレジット・デリバティブ管理システムへのDLT導入とその技術を担うブロックチェーンベンチャーAxoni

目次

  • はじめに
  • TL;DR
  • クレジット・デリバティブ取引の情報データベース&取引処理システム、TIWとは
  • DTCCのDLTに関するコーポレートアクションとTIWへのDLT導入の進捗
  • 米投資銀行から注目を集めるブロックチェーンベンチャー、Axoni
  • 終わりに
  • 参考資料

はじめに

昨今エンタープライズ領域でのDLT、ブロックチェーン技術の導入に向けて様々な取り組みがなされているなか、今年の末までに巨大金融商品市場をサポートする既存システムにDLTが導入される可能性が高まっている。証券・投資銀行領域におけるメジャーなプレイヤーに関して言えば、過去にナスダックが未上場株取引にブロックチェーンを使用したPoCを成功させる事例はあったものの、実稼働しているDLTまたはブロックチェーンを用いたシステムの事例は見当たらない。そんななかTIWが比較的早いタイミングでDLTの導入に踏み切ったのは、クレジット・デリバティブという、金融商品のなかでも取引や情報のやり取り、もしくは商品自体が複雑で、それゆえにシステムのインテグレーションの難易度が高く比較的アナログな処理の残る領域であることが背景なのではないかと推測される。
また、このシステムが実際に稼働する場合、シリーズBを調達し終わって間もないベンチャー企業が米国最大級のシステムを書き換える旗振り役を果たしたということになる。本レポートの主役であるそのベンチャー企業、Axoniは、世界最大の金融機関を筆頭に超著名な投資家がこぞって投資しており、多くの著名企業と金融業界における幅広い領域をカバーする複数のPoCを成功させ、2019年2月にForbesのFinTech企業50社のうちの一つとして取り上げられた。日本での認知度は低いが、ブロックチェーンを使用するしないに関わらず、今や米国内でも注目される企業のひとつとなっていることは間違いないだろう。彼らが用いる技術についてそのテクニカルな詳細には触れないが、TIWに関してはブロックチェーンと非常に相性が良いとされながらも実用例があまり見られていない貴重な形式的検証のユースケースとしても興味深い。
なお、本レポートでは、金融機関名を下記の通り略称で記載する。
GS:Goldman Sachs (米) JPM:JP Morgan (米) ML:Merrill Lynch (米)
BoA:Bank of America (米) WF:Wells Fargo (米) CS:Credit Suisse (スイス)

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