後払い決済大手KlarnaのIPO計画と暗号資産参入
2025年03月24日
リサーチメモ(Lawrence)
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- KlarnaのIPOと暗号資産参入
- 1. なぜいまKlarnaが注目されるのか
- 2. IPO申請の背景:成長回復と市場環境
- 3. 暗号資産分野への参入:Klarnaのねらい
- 4. 暗号資産ビジネス事業者目線のインサイト
- 5. 今後の展望とまとめ
- 参考文献・情報源
※免責事項:このレポートは生成AIで作成されており、査読は行われていますが必ずしも正しいとは限りません。重要な情報は確認するようにしてください。
- 後払いサービスを展開するKlarnaが暗号資産を導入する可能性を示唆しています。同社はIPOの準備も進めており、後払いサービス市場自体もユーザー数・売上ともに順調のようです。
- このような急成長フィンテックが、暗号資産を用いた決済の導入を検討し始めているあたり、暗号資産やブロックチェーンそのものよりもステーブルコインといった手段の方が早く世の中に浸透していることを実感させます。
- 暗号資産事業自体はまだ構想中のようで、将来的に後払い決済とも融合させていく可能性があると思います。そうなると、クレジット担保のクリプト取引・決済なども実現されるかもしれません。ただ、同社は慎重な姿勢をとっており、おそらくシンプルな決済手段としての採用がまずは行われる見込みです。
KlarnaのIPOと暗号資産参入
1. なぜいまKlarnaが注目されるのか
1-1. BNPLのパイオニアとしてのKlarna
スウェーデン発のフィンテック企業Klarna(クラーナ)は、2005年創業当初から「オンライン決済をもっと簡単にする」というビジョンを掲げ、Buy Now, Pay Later(BNPL)サービスの先駆者として急成長してきました。
BNPLとは、消費者が商品購入時に即時決済せず、後払いまたは複数回の分割払いを選択できるサービスです。Klarnaはユーザーの代わりに加盟店に一括立替払いし、利用者からは後日返済を受け取る仕組みを築きました。
- ユーザー視点:柔軟な支払いオプション(例:4回払い・30日後払いなど)を金利ゼロ、または低金利で利用できる。
- 加盟店(マーチャント)視点:Klarnaが立替払いを行うため売上回収リスクが減り、カゴ落ち(購入途中で離脱)を防ぐ。
- Klarna視点:加盟店に手数料を課金するモデル。従来のクレジットカードに近いが、商品やブランドのプロモーションを含む包括的な支援サービスとして差別化している。
欧州を中心に事業を拡大してきたKlarnaは、現在26か国以上に展開し、9,300万人超のアクティブユーザーと50万社以上の加盟店を擁すると報じられています。特に若年層ユーザーからの支持が厚く、「クレジットカードを持たない・持ちたくない」新世代にとっては身近な後払い手段として認知されています。
1-2. フィンテックの雄から「Klarna Bank AB」へ
Klarnaは2017年に銀行免許を取得し、「Klarna Bank AB」として預金口座やデビットカード発行、貯蓄商品などの銀行サービスを提供する段階へと進化しました。
- 銀行サービスとの統合:ユーザーはKlarna口座を開設し、預金・支払い・分割払い・買い物履歴管理などをアプリ内で一元的に行える。
- スマホアプリの「ショッピングアシスタント化」:ECサイトを横断検索できる機能や商品比較、配達追跡など、純粋な「決済」を超えた体験を提供してきました。
従来のフィンテック企業とは異なり、銀行としての規制遵守体制を整えたことでグローバル展開への足がかりをつかんだ点が特徴とされています。
2. IPO申請の背景:成長回復と市場環境
2-1. 2024年の収益成長と黒字転換
Klarnaは2020年代前半に拡大路線を突き進む中、与信リスクやオペレーションコストの増大で一時赤字に陥りました。しかし、2024年に入ってから業績が好転。
- 2024年の収益:28.1億ドル(前年比+24%)
- 2024年最終損益:約2,100万ドルの黒字(前年の2億超の赤字から大きく改善)
これは大規模なコスト削減策(レイオフ等)や与信管理強化が奏功した結果と見られます。黒字化を背景に投資家へのアピール材料が揃ったため、2025年3月に米SEC(証券取引委員会)へForm F-1を提出し、ニューヨーク証券取引所(NYSE)への新規上場を目指す運びとなりました。
2-2. フィンテックユニコーンの評価額の揺れ
Klarnaは2021年前後のフィンテックブームの際に評価額が一時465億ドルに達しましたが、その後の金融引締めや市場調整を受け、2022年には約67億ドルまで下落しました。
- 再評価のきざし:2023年以降に市場が徐々に落ち着きを取り戻し、Klarnaの成長率・黒字転換を受けて評価額は再び上昇。IPO時のバリュエーションは150億ドル前後とも報じられています。
- 調達資金の使途:BNPLでは取引立替資金の厚みが必要なうえ、銀行サービス・暗号資産など新事業領域での投資余力も求められる。そのため上場で10億ドル超の資金を確保し、国際展開や開発を加速させる狙いがあります。
2-3. 競合環境の変化
- 他のBNPLプレイヤー:米国のAffirm、豪発のAfterpay(Block社に買収)、PayPalの「Pay in 4」などが市場を争う。さらにAppleも「Apple Pay Later」を2023年から米国内で本格提供。
- Klarnaの提携攻勢:2025年3月には米ウォルマートとの独占的パートナー契約を獲得し、ウォルマートの分割払いオプションをKlarnaが担うと発表。大手リテーラーを巡る提携獲得競争が激化している。