「どこまで自前で持つか」が決める次の勝ち筋|独立チェーンの撤退と垂直統合が映す市場再編:リサーチチームが選ぶ今週の注目トピック 2026年10月12日号

2026年10月12日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)

目次

  • 前提
  • 今週のインサイト
  • 今週1週間分のニュースを紹介
    • ▍AIエージェント時代に崩れ始めるTradFiとクリプトの境界
    • ▍Abstract終了が示す「消費者特化チェーン」の持続性問題
    • ▍LayerZeroが通信基盤から「基盤チェーン」へ広げるZRO再評価論
    • ▍Polymarketが予測市場基盤を全面刷新するProtocol V2
    • ▍実収益とトークン設計で選別される次のクリプト相場
    • ▍材料別に選別する次の相場の個別銘柄アイデア集
    • ▍ミームコインは17日で天井、ほとんど戻らない
    • ▍東アジアで分岐する「小売・機関・ステーブルコイン」の3市場

前提

本レポートでは、最新のクリプトやWeb3市場、オピニオンに関する記事やスレッドをまとめています。各記事の要点を把握し、トレンドやインサイトを効率的にキャッチアップできる内容となっていますので、ぜひご活用ください。

今週のインサイト

今週、複数のトピックを並べると見えてくるのは、クリプト企業やプロトコルが「自分たちはどこまでを自前で持つべきか」という事業境界を引き直していることです。Abstractは40万人超を集めながら、流動性やDeFiが薄く、消費者向け体験だけでは独立チェーンを維持できませんでした。対照的にLayerZeroは、通信基盤で高いシェアを得てもZROへの価値帰属が弱いため、ZeroやATLASを通じてより深い金融レイヤーへ進もうとしています。Polymarketも人気アプリにとどまらず、複数の商品・オラクル・チェーンを扱える共通プロトコルへ基盤を作り直しています。AIエージェントとRWAの融合も、銀行・証券・クリプトという従来の業態区分を曖昧にします。一方、ミームコインは中央値17日で最高値に達し、多くが戻らないというデータも示されました。つまり、ユーザーや注目を集めるだけでは長期的な優位性になりません。今後は、チェーン、流動性、プロトコル、顧客接点のうち何を自社で握り、何を外部へ任せ、その経済価値をどこで回収するのかという「境界設計」が競争力を左右しそうです。

今週1週間分のニュースを紹介

▍AIエージェント時代に崩れ始めるTradFiとクリプトの境界

要約

本稿は、AIエージェントの普及とRWAのトークン化が同時に進むことで、伝統金融とクリプトの境界が本格的に崩れ始めているというCitrini Researchの投資論です。
著者が出発点に置くのは、「AIエージェントが人間に代わって24時間、金融資産を比較・移動・運用する未来」です。たとえば個人AIが預金、投資、住宅ローンまで横断して最適化するようになれば、現在の銀行・証券・決済システムのように、人間向けに分断された金融インフラでは対応しづらくなります。
そこで再評価されるのが、常時稼働し、プログラム可能で、資産・所有権・決済を同じ基盤上で扱えるブロックチェーンです。これまではUXの悪さや実用資産の少なさから用途が限られていましたが、AIエージェントは複雑な操作を苦にせず、同時に株式、国債、商品、信用などのRWAもオンチェーン化し始めています。著者は、この2つの変化が重なることで「ブロックチェーンの存在意義がようやく明確になった」と見ています。

重要ポイント

著者は、金融システムが今後AIエージェントへ対応するには、大きく2つの道しかないと整理しています。既存金融機関が自らオープンでプログラム可能な仕組みへ変わるか、そうした機能を最初から備えた新しい金融基盤に置き換えられるかです。
現在の銀行システムは、KYC、法的主体、仲介機関、営業時間、個別アプリなど、人間が操作する前提で作られています。一方、エージェントは24時間継続的に預金金利や借入条件、投資機会を比較できます。これが極端に進めば、預金が常に最も高い金利へ移動し、銀行が依存してきた低コスト預金の安定性そのものが揺らぐ可能性まで著者は示唆しています。
こうした機械向け金融基盤として、ブロックチェーンは相性が良いとしています。特に、RWAがオンチェーンへ持ち込まれ始めたことで、これまでクリプト内部の資産だけだった市場に、株式、国債、原油、信用など実体経済の金融商品が加わりつつあります。

読みどころ

本稿で特に興味深いのは、トークン化を「既存金融商品のデジタル版」としてではなく、AI時代の金融インフラへの転換として捉えている点です。
著者はインターネットのHTTPSやTCP/IPを例に挙げ、最終利用者が基盤技術を意識しなくなったように、ブロックチェーンもウォレット、ガス、ブリッジといった複雑さが抽象化されれば、利用者自身が意識せず使うインフラになると考えています。しかもその利用者は人間だけでなく、AIエージェントになる可能性があります。
市場面では、RWAの利用が最近急速に現実味を増したとしています。イラン情勢が悪化した週末に、既存市場が閉まる中でHyperliquid上の原油市場が価格発見の場として機能した事例を象徴的に取り上げています。
さらに、Robinhood ChainのStock Tokensをきっかけに、トークン化株式が特定の発行元だけに閉じず、複数アプリやDeFiで利用できるようになったことを重要な転換点としています。Solanaでは2026年9月、一時的にNYSEを上回る取引件数を処理したとも紹介し、ボットやミーム取引が多いことを差し引いても、オンチェーン市場の活動量は無視できない水準に達していると評価しています。

示唆

本稿の最大の示唆は、今後の投資テーマを「トークン化資産が増えるか」ではなく、トークン化が進んだとき、どこに経済価値が帰属するかという視点へ移すべきだという点です。
著者は、規制面でも大きな変化が起きていると主張しています。CLARITY Actが上院で進まなかった直後にも、SECによるトークン化株式向けの制度対応が進み、Coinbaseによる米国株永久先物も制度上の検討対象に入っているとしています。ここから、包括法の成立を待たなくても、個別ルールの積み上げによってオンチェーン金融市場が実務化していく可能性を見ています。
ただし、本稿はCitrini Research自身が「どこに投資機会があるか」を探す過程で書かれた強いテーマ投資論です。AIエージェントによる「預金逃避」や、ブロックチェーンが機械金融の標準基盤になるという部分は将来仮説であり、現時点で確立された事実ではありません。また、RWAの成長や制度変化がそのまま特定トークンや企業の価値上昇へつながるわけでもありません。
それでも、AIが金融操作の主体になり、RWAがオンチェーン化することで、ブロックチェーンが「人間向け金融の代替」ではなく「機械が使う金融インフラ」として再評価されるという視点は、本稿の核心です。伝統金融とクリプトの融合を、単なる資産トークン化ではなく、金融システム全体の機械可読化・自動化として捉えている点に読みどころがあります。

▍Abstract終了が示す「消費者特化チェーン」の持続性問題

要約

本稿は、消費者向けクリプトに特化したL2「Abstract」が、約3年間の運営を経てサービス終了を決定したことを発表したものです。Abstractは2026年12月15日にチェーンを停止し、それまでにユーザーへ資産を他チェーンへ移すよう求めています。期日までに移行されなかった資産はアクセス不能になるとしています。
Abstractはこの18か月で、オンチェーンアプリの発見・流通を担うPortal、スマートコントラクトウォレットのAbstract Global Wallet(AGW)、144以上のアプリ展開、Red Bull RacingやDisneyなどとの連携を実現し、40万人超のユーザーをオンボーディングしたと説明しています。
それでも、消費者向け用途だけに特化した独立チェーンという事業モデルは持続できなかったと結論付けています。DeFiの弱さ、薄い流動性、機関投資家との接点不足、競合に対する予算規模の小ささが成長を止めた主因として挙げられています。

重要ポイント

Abstract側は、利用者獲得やアプリ開発自体には一定の成果があったと振り返っています。
Portalはアプリ発見・流通の仕組みとして一定の評価を得て、AGWもオンボーディングを簡略化するウォレットとして普及したとしています。また、144以上のアプリが展開され、グローバルブランドやIPとの連携によって40万人超のユーザーをAbstractへ誘導しました。
一方、こうした「利用者数」や「アプリ数」が、チェーンそのものの経済的持続性には十分につながりませんでした。特に、DeFiの選択肢が限定的だったことで資本が定着せず、流動性も薄いままでした。さらに、機関投資家や大規模金融サービスとの接続も限定され、競合チェーンと同じ規模でインセンティブや開発投資を続けるだけの予算も持てなかったとしています。
過去12か月は事業モデルの再検討や成長策を模索したものの、最終的に「運営を続けて資源を消耗するより、終了する方が適切」と判断しました。

読みどころ

本稿で特に重要なのは、「プロダクトとして一定の成功を収めても、チェーンとして成功するとは限らない」という点です。
Abstractはウォレット、アプリ発見、ブランド連携、ユーザー獲得といった消費者向け体験では成果を出しています。しかし独立チェーンとして存続するには、それだけでは足りず、資本が継続的に滞留するDeFi、深い流動性、機関資金、開発者・マーケットメーカーを引き付ける経済圏まで必要でした。
つまり、「良い消費者向けアプリを作ること」と「独立したブロックチェーンを維持すること」は別の問題です。利用者が多くても、資産がチェーン内で循環せず、金融活動が厚くならなければ、インフラ維持費やエコシステム支援費を正当化しにくくなります。
また、Abstractのエンジニアリング・エコシステムチームは、既存プロジェクトが他チェーンへ移行する作業を支援するとしています。チェーン自体は終了しても、その上で生まれたアプリやプロダクトまで消えるとは限らない点も重要です。

示唆

本稿の最大の示唆は、アプリ特化型チェーンの評価軸を「ユーザー数」だけで判断してはいけないという点です。
消費者向けクリプトでは、使いやすいウォレットや優れたブランド体験によってユーザーを集めることはできます。しかし、独立チェーンとして生き残るには、そのユーザーが資産を持ち続け、取引し、貸し借りし、流動性を提供し、外部資本も流入する経済構造が必要になります。Abstractは、プロダクト利用と金融的な資本定着の間にギャップがあった事例と見ることができます。
これは今後のL1・L2競争にも当てはまります。「ゲーム向け」「ソーシャル向け」「消費者向け」といった明確なテーマを持つだけでは十分ではなく、最終的には流動性、DeFi、機関投資家、開発予算まで含めた総合的な経済圏を作れるかが重要になります。
また、終了プロセスそのものも重要です。Abstractは2026年12月15日までの移行期間を設け、Migration HubとNative Bridgeを案内しています。Native Bridgeでは約3時間の待機時間があるとし、偽サイトやなりすましDMへの注意も呼びかけています。
その意味で今回の終了は、単なる「失敗したチェーン」の話ではなく、消費者向け体験だけでは独立チェーンの持続性を支えきれず、最終的には資本・流動性・金融機能まで備えた経済圏が必要になることを示す事例として読むのが適切です。
なお余談ですが、同週にはBlastもネットワークの終了を発表しました。両者の事情は異なるものの、チェーンを立ち上げること以上に、その経済圏を持続させることの難しさを象徴する動きと言えそうです。(参考:https://x.com/blast/status/2106032805280891073)

▍LayerZeroが通信基盤から「基盤チェーン」へ広げるZRO再評価論

要約

本稿は、LayerZeroとZROについて、既存のクロスチェーン通信事業、トークン需給、収益構造、そして新たに開発中の基盤チェーン「Zero」までを整理し、ZROが現在の事業規模に対して過小評価されている可能性を論じたレポートです。著者自身がZROを保有しており、短期的な価格予測ではなく「市場がまだ織り込んでいないもの」を整理することを目的としています。
LayerZeroは各チェーンにEndpointを配置し、アプリケーション同士がメッセージを送受信できる通信基盤です。資産をプールする一般的なブリッジとは異なり、各アプリケーション自身が検証者を選択できます。記事によれば、2026年9月にはAlliumが追跡する主要6通信プロトコルの取扱高の88.6%を占め、USDC専用のCircle CCTPを除けば、5〜9月の通信量シェアは87.9%、USDC以外のステーブルコインでは97.1%に達しました。
著者は、LayerZeroがすでに通信市場で圧倒的な立場を築いた一方、現在のZROへの直接的な価値帰属は小さく、本当の再評価材料はZeroやATLASなど今後の新事業にあると見ています。

重要ポイント

ZROは10億枚固定供給で、2024年6月にローンチしました。チーム・投資家分のロック解除は2027年5月まで続き、2026年10月時点では残り8回、毎月約2,330万ZROが解除される予定です。ただし著者は、この供給圧力が表面的な数字より小さいと主張しています。
LayerZero側の集計によれば、過去18か月で機関投資家と買い戻しによって供給量の19.77%に相当する1億9,770万ZROが取得され、2026年5月末までに解除された投資家分の63.8%は移動していません。またFoundationによる初期投資家からの5,000万ZRO買い戻し、LayerZero Labsによる市場買い戻し、Stargate収益による買い付けなど、2025年9月以降の買い戻し総額は$112.7Mとされています。
Citadel Securities、ARK Invest、TetherなどもZROを取得したとされ、ARKとTetherはLayerZero Labsの株式にも投資しています。著者は、流通量約3億9,900万ZROのうち実際に自由に売買されている量を約1.2〜2.36億ZROと推定し、表面上の流通量より実質的な浮動供給が少ない可能性を指摘しています。

読みどころ

重要なのは、現在のLayerZeroの利用量が、そのままZROの収益につながっているわけではない点です。
現状では、通信時に支払われる手数料の多くは検証者や実行者へ渡り、ZROには直接入りません。LayerZero Labs自身が大半のメッセージで実行者・検証者を務めていますが、その収益はLabs側へ帰属します。ZROへ直接つながっているのは、Stargateの収益を使った継続的な買い付け程度で、記事によれば年率約$4.2Mの規模です。
一方、プロトコル手数料を徴収してZROへ交換・焼却する「Fee Switch」も設計されています。半年ごとの投票では賛成率96%以上ながら定足数不足で有効化されておらず、次回は2026年12月頃を予定しています。ただし、現行設計で有効化されても年間数百万ドル程度と著者は試算しており、通信事業だけから現在のZRO評価額を正当化するのは難しいと認めています。
つまり本稿の中心は、「LayerZeroの通信シェアが高いからZROが安い」という単純な話ではなく、既存通信事業を足場としてZeroやATLASから新たな収益源を作れるかにあります。

示唆

その第一歩として紹介されるのが、新しい基盤チェーン「Zero」です。
Zeroは、すべてのノードが同じ取引を再実行する従来型ブロックチェーンの構造を見直し、少数の高性能なブロック生成者が取引を実行して証明を生成し、多数の軽量な検証者はその証明とデータ可用性だけを確認する設計です。LayerZeroチームは、各チェーンへの統合作業を通じて、性能上の主な制約が仮想マシンではなくストレージや重複計算にあると考えるようになったと説明しています。
Zeroでは「Zone」と呼ばれる複数の実行環境を並列に動かし、それぞれをLayerZeroの通信機能で接続します。ローンチ時には汎用EVM、金融市場、プライバシー決済の3つのZoneを想定しています。QMDBでは単一サーバーで毎秒228万件の状態更新、FAFOでは96コア環境で毎秒110万件の単純送金を達成したとしていますが、これらは論文や合成負荷テスト段階の数値です。SVIDやJolt Proについては企業側の主張が中心で、公開テストネットもまだ存在しません。
したがってZeroの「毎秒200万取引」「1取引$0.000001」といった目標は、現時点で実運用によって確認された性能ではありません。また、Zone間通信の遅延や信頼モデル、ブロック生成者数、ファイナリティなども未公開です。
本稿を通じて見えてくるのは、ZROの投資仮説が「クロスチェーン通信量への賭け」から大きく変わろうとしていることです。現在の通信事業は高いシェアを持つ一方、ZROへの価値帰属は限定的です。今後の評価を決めるのは、その通信網を中心にZeroという基盤チェーンとATLASなどの金融機能を構築し、新しい収益をZROへどこまで接続できるかです。
一方で、本稿はZRO保有者による明確な強気論であり、実質流通量の推計、機関投資家の保有状況、Zeroの性能、将来の価値帰属には不確実性があります。そのため、現時点の通信シェアという実績と、まだ稼働していないZero・ATLASへの将来期待を分けて読むことが重要です。
なお、興味がある方はこちらよりPart2(https://x.com/okay_lets_ride/status/2107503699014681039) をご覧ください。

▍Polymarketが予測市場基盤を全面刷新するProtocol V2

要約

本稿は、Polymarketがこれまで使ってきた予測市場スマートコントラクト基盤を全面的に作り直した「Polymarket Protocol V2」の概要です。
従来のPolymarketは、2019年にGnosisが開発した汎用的なConditional Tokens Framework(CTF)を土台にし、その上へ新しい市場形式や機能を追加するたびに、アダプターや別の取引コントラクト、オラクル連携などを積み重ねてきました。その結果、市場形式ごとに異なるコントラクトや承認が必要になり、外部開発者の統合負担も増えていました。
Protocol V2では、この構造をポジショントークンから作り直し、1つのERC-1155、1つの担保資産pUSD、1つの取引コントラクト、1つのルーターへ統合します。さらに複数の市場形式、複数オラクル、将来のマルチチェーン展開まで同じ基盤で扱える設計へ変更し、今後の予測市場機能を追加しやすくすることが狙いです。

重要ポイント

最大の変更は、これまで市場形式ごとに分かれていたスマートコントラクト構造を共通化することです。
Protocol V2では、各ポジションID自体に「どの市場形式か」「どの市場か」「どの結果か」という情報を埋め込みます。そのため、プロトコルはIDを見るだけでポジションの属性を判断でき、外部のアダプターや個別コントラクトへの依存を減らせます。
初期段階では、通常の二択市場に加えて、Atomic Neg-risk、Incremental Neg-risk、Combinatorialという複数の市場形式をモジュールとして扱います。各モジュールにはポジション操作を拡張する機能も用意され、資本効率を改善する余地を広げています。
市場結果の確定についても、新しいOracleAggregatorを導入します。UMAだけに固定するのではなく、Chainlinkや将来登場する別のオラクルを交換可能なモジュールとして接続できるため、結果判定の設計自由度が高まります。

読みどころ

本稿で特に重要なのは、Protocol V2が単なるコード整理ではなく、Polymarketを「複数種類の予測商品を作れる基盤」へ変えようとしている点です。
従来は新しい市場形式を追加するたびに、その形式専用のコントラクトを追加する必要がありました。V2では市場形式そのものをモジュール化することで、新しい予測市場商品を既存基盤へ追加しやすくしています。
また、ブリッジ機能も最初からプロトコル設計に組み込まれています。将来的にはポジション、担保、さらには市場結果までチェーン間で移動できることを想定しており、Polymarketがマルチチェーン化する際の基盤になります。
さらに、将来機能としてScalar ResolutionとDirectional Collateral Returnも示唆されています。前者は単純なYES/NOではなく数値レンジなどを扱う結果判定へ発展する可能性があり、後者も担保の返却方法をより柔軟にする方向性を示しています。ただし、本稿では詳細仕様までは説明されていません。

示唆

本稿の最大の示唆は、Polymarketが「人気の予測市場アプリ」から、「予測市場そのものを継続的に拡張できる金融基盤」へ移行しようとしている点です。
市場形式、担保、オラクル、ブリッジをモジュール化すれば、将来的に政治やスポーツの二択予測だけでなく、数値予測、複数結果、条件付き市場など、より複雑な商品を同じ基盤上へ載せやすくなります。特にオラクルを交換可能にしたことは、「どの出来事を、誰が、どう確定するか」という予測市場の根幹を拡張する変更です。
一方で、V2ではプロトコル全体をガバナンス経由でアップグレード可能にしています。これは開発速度や保守性を高める一方、従来の変更不能なコントラクトと比べて、ガバナンス権限やアップグレード手続きの安全性がより重要になります。Polymarket側もそのリスクを意識しており、Cantina、Certora、Quantstamp、SigmaPrime、Zellic、Pashovによる監査、Certoraによる形式検証、最大$5Mのバグ報奨金制度を用意しています。
移行は段階的に進められ、10月5日から30日まで本番環境で少数のカナリア市場を稼働させ、11月2日を新規市場のV2切り替え予定日としています。同時にRust製のData API V2も導入し、独自オンチェーンインデクサー、統一レスポンス形式、カーソル型ページネーションによって外部統合も刷新します。
そのためProtocol V2は、単なる裏側の技術更新というより、Polymarketが今後どこまで複雑な市場を作り、マルチチェーン化し、外部アプリから利用される「予測市場インフラ」になれるかを左右する基盤刷新として見るのが適切です。

▍実収益とトークン設計で選別される次のクリプト相場

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※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。