取引の後に「何が残るか」を問うクリプト市場|最速で入るより、最後に残るものを見る:リサーチチームが選ぶ今週の注目トピック 2026年9月21日号

2026年09月21日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)

目次

  • 前提
  • 今週のインサイト
  • 今週1週間分のニュースを紹介
    • ▍Uniswap v4 Hooksが露呈した「最良価格」の信頼問題
    • ▍「初動」より確度を取るRobinhood Chain相場の実践論
    • ▍ミーム投機を株式資産へ接続するオンチェーン残留戦略
    • ▍AI計算をPoWへ転換するPearlの「AIマネー」構想
    • ▍クリプトを「収益・ミーム・空約束」に分ける3世界論
    • ▍未上場企業の価格発見を担い始める永久先物市場
    • ▍法人参入の遅れが生む韓国クリプト市場の「空白」
    • ▍株式トレジャリーをAI議会が運営するOccupy構想

前提

本レポートでは、最新のクリプトやWeb3市場、オピニオンに関する記事やスレッドをまとめています。各記事の要点を把握し、トレンドやインサイトを効率的にキャッチアップできる内容となっていますので、ぜひご活用ください。

今週のインサイト

今週のトピックを横断すると、クリプト市場の評価軸として「取引や利用が増えた後に、何が残るのか」という問いが強く浮かび上がります。Uniswap v4では、最良価格を表示できても実際の約定品質が悪ければ意味がなく、Robinhood Chainでも最速で銘柄を見つけることより、資金流入やテーマを確認してから参加する考え方が示されました。一方、韓国市場は巨大な取引量を持ちながら、法人金融や周辺サービスの蓄積では遅れています。pre-IPO永久先物も価格は作れても、実株式の権利そのものを生むわけではありません。今週は、取引量や話題性そのものより、一時的な活動を資産、収益、価格発見、流動性、事業基盤へ変換できる仕組みこそが、その市場の持続性を左右すことを示した1週間だったといえます。

今週1週間分のニュースを紹介

▍Uniswap v4 Hooksが露呈した「最良価格」の信頼問題

要約

本稿は、DEXアグリゲーターの0xが、Uniswap v4のHooksによって可能になった自由な取引ロジックが、同時に新しい攻撃面を生み出していると警告したものです。Hooksそのものの有用性を否定しているのではなく、「誰でも自由に実装できる」という設計が、アグリゲーターやウォレットにとって流動性の安全性を判定する難易度を大きく高めたと論じています。
0xによれば、悪意あるHookの中には、価格照会時には魅力的な交換レートを提示しながら、実際の決済時には別の価格や高額な手数料を適用するものがあります。アグリゲーターは通常、最も有利な価格を提示する経路へ注文を送るため、攻撃者は独自の利用者基盤を作らなくても、既存のウォレットや取引アプリを経由してユーザーへ到達できます。
0xが6チェーン上の84,163件のHookを分析したところ、安全と判定されたものは19.4%にとどまり、54.2%が悪意あり、26.4%が悪意の可能性ありと分類されました。同社はこの結果から、「許可不要の流動性」と「信頼できる流動性」は同義ではないと主張しています。

重要ポイント

Uniswap v4のHooksは、スワップや流動性ポジション変更の前後など、プールの特定タイミングで独自コードを実行できる仕組みです。これにより、独自の手数料設計、取引ルール、流動性管理など、従来より柔軟なAMMを構築できます。
問題は、同じ自由度を悪意ある開発者も利用できることです。攻撃者は知名度のあるサービスを構築する必要がなく、アグリゲーターの価格照会で最良条件に見えるプールを作るだけで、既存の注文経路に入り込めます。
0xは静的解析、動的解析、実際の約定結果を組み合わせてHooksを評価し、2026年9月11日時点で、84,163件のうち54.2%を悪意あり、26.4%を悪意の可能性ありと分類しています。悪意ある経路では、表示された見積額に対して実際の受取額が最大50%少なくなる事例も確認したとしています。

読みどころ

具体例として、Base上のETH/NVDAcプールに関連するHookでは、6,516件の約定のうち3,946件、約60.6%で追加手数料が発生しました。手数料率は0〜18%で、課金された取引の中央値は18%、累計手数料は約$143Kに達したとしています。
BNB Chain上のUSDT/WBNBの別事例では、4,879件中1,619件、約33.2%に手数料が課され、課金時の中央値は12.8%でした。全取引の中央値だけを見ると0%になるため、一部の注文だけに高額手数料を課すことで、通常時の挙動から悪意を見抜きにくくしていることが分かります。
著者らによれば、手法にはランダムに手数料を変えるものや、EVMの実行環境を調べて「これは価格照会なのか、実際の取引なのか」を判別しようとするものなどがあります。つまり、単純にスマートコントラクトのコードを確認するだけでなく、「価格照会時と実取引時に同じ挙動をするか」を検証する必要があります。

示唆

本稿の最大の示唆は、DEXにおける「最良価格」の意味が変わっていることです。従来は複数の流動性源から最も良い価格を探すことがアグリゲーターの主要な役割でしたが、Uniswap v4 Hooksのようにプールごとに任意の実行ロジックを持てるようになると、表示価格だけを比較するモデルでは不十分になります。
これからは、「いくらで交換できると表示されたか」だけでなく、「その価格が実際の決済でも再現されるか」という実行品質そのものを評価する必要があります。0xは、ルーター側による見積価格と実約定の照合、アプリ側による疑わしい経路の迅速な排除、利用者への経路リスクの提示が必要だとしています。
これはUniswap v4の設計そのものにとっても重要な論点です。HooksはAMMを単一仕様からプログラム可能な流動性基盤へ進化させましたが、その結果、個々のプールが異なる信頼モデルを持つことになりました。拡張性を高めるほど、安全性の判断をプロトコルからルーターやアプリへ移す必要があるというトレードオフです。
一方、本稿はDEXアグリゲーターである0x自身による問題提起であり、同社はプールの検査や安全な経路選択を自社の価値として提供しています。そのため、「Hooks were a mistake」というタイトルは強い主張として読む必要があります。また、84,163件の分類基準や「悪意の可能性あり」の判定方法は本文だけでは十分に検証できません。
それでも、価格照会と実際の決済結果を意図的に乖離させるプールが存在するという指摘は、オンチェーン取引の重要な変化を示しています。Uniswap v4以降のDEXでは、流動性の量や価格だけでなく、「その流動性を提供するコードがどのように振る舞うか」まで含めて評価する必要があり、安全性そのものがルーティング品質の一部になりつつあります。

▍「初動」より確度を取るRobinhood Chain相場の実践論

要約

本稿は、しばらくクリプト市場から離れていた著者が約1週間半ぶりに戻り、Robinhood Chainを中心とする足元の相場を見て感じた「勝ち筋を複雑にしすぎない」ための実践的な売買論をまとめたものです。
著者が批判するのは、時価総額$500K未満の超小型銘柄を延々と探し続け、「誰よりも早く入ること」自体を目的化する姿勢です。むしろ、時価総額$3M〜$5Mまで上昇していても、明確なテーマ、実績のある開発者、資金流入、SNS上の継続的な関心など複数の根拠が揃っていれば、そこから$20M以上への上昇を狙う方が合理的だと主張しています。
特にRobinhood Chainでは、既存プロジェクトの著名開発者による新規展開、DeFiのTVL増加、RWAとミームコインの融合など、分かりやすいテーマへ資金が集まっていると見ています。一方で、すべての値動きを追う必要はなく、自分なりの条件を事前に設定し、それを満たすまで待つことを重視しています。

重要ポイント

著者の基本姿勢は、「最初に買えなかった=もう遅い」と考えないことです。STONKやPONSなどの初動を逃したとしても、強いテーマが確認できた後から入る余地はあるとしています。例として、GMXやAIXBTに関係する開発者がRobinhood Chainで新しいプロジェクトを展開したケースを挙げ、最初期ではなくても、既存の実績とRobinhood Chain展開という複数の材料が重なるなら取引対象にすると説明しています。
情報収集も極端に複雑化しておらず、著者は非公開グループには参加せず、Xのタイムラインから情報を拾い、センチメントとファンダメンタルズの整合性を簡単に確認して判断しているとしています。
また、主要銘柄に続く2番手、3番手を買う「ベータ狙い」は完全には否定していませんが、元のプロジェクトより経済設計や技術面で改善がある場合に限るべきだとしています。特に3番手、4番手、5番手を機械的に追う戦略については、過去のAIエージェント関連銘柄で多くが失敗した経験から否定的です。

読みどころ

本稿で興味深いのは、いわゆる「草コインの最初期を当てること」よりも、テーマが明確になった後の中盤を取ることを重視している点です。
時価総額$3M〜$5Mで「もう上がってしまった」と見送るより、そこから$20Mへ伸びる銘柄の方が、流動性も情報量も増え、テーマの確認もしやすくなります。著者はこれを「ギャンブルするのではなく、勝つために賭ける」と表現しており、リターン最大化よりも、複数の根拠が重なる局面を狙う考え方です。
一方、本人はRWAやDeFiという現在のテーマそのものに強く熱狂しているわけではありません。過去のAIエージェント相場よりもやや弱いテーマに感じるとしつつ、「RWA×ミーム株」は前進だと評価しています。自分の好みと、市場が実際に評価しているものを切り離す姿勢が強調されています。
プライバシー技術やAI推論市場にも関心を示し、データ、クレジット、ツールへのアクセスが今後重要な資源になるとの見方を示しています。また、現時点ではAIダッシュボードやボットを使っていないものの、今後はAIを使った市場分析基盤が極めて重要になるとも考えています。

示唆

本稿の最大の示唆は、「早さ」そのものを優位性と勘違いしないことです。超小型銘柄の最初期を狙えば上昇倍率は大きく見えますが、情報不足、低流動性、開発者リスクなども大きくなります。それよりも、テーマ、開発者、資金流入、TVL、SNS上の関心など複数の条件が揃ってから一定規模で参加する方が、著者にとっては再現性の高い戦略になっています。
また、相場に対して感情的な忠誠心を持たないことも重要なテーマです。特定チェーン、特定コミュニティ、特定銘柄へ感情移入すると、新しい機会を見逃しやすくなるため、「自分が好きか」ではなく「市場で何が起きているか」を見るべきだとしています。何も条件を満たさなければ、参加せず観察することも正しい選択だという姿勢です。
これは、2026年のRobinhood Chain相場を「超初期の情報戦」ではなく、「明確な勝者が見え始めた後に確度を上げて参加する市場」と捉える視点でもあります。著者自身はRobinhood ChainとSolanaを足元の中心テーマと見ていますが、これはあくまで個人的な市場観であり、BTCの調整後に12〜24か月の上昇局面が続くという見通しも含めて予測にすぎません。
そのため本稿は具体的な銘柄推奨というより、ノイズの多い相場で「何を見ないか」を決め、事前に設定した条件が複数重なったときだけ資金を投入するという、裁量トレーダーの判断原則を整理したものとして読むのが適切です。

▍ミーム投機を株式資産へ接続するオンチェーン残留戦略

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※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。