Resolv USR崩壊解剖——$25Mを奪った計画的攻撃とDeFiセキュリティの盲点

2026年03月23日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)

目次

  • 1. Resolv USRとRLPの仕組み
  • 2. 攻撃の全容——80分間の記録
    • ステップ0:準備と侵入(前日から)
    • ステップ1:50M USRの不正発行(02:21 UTC)
    • ステップ2:市場への波及(02:38 UTC)
    • ステップ3:30M USRの追加発行(03:41 UTC)——もう1時間、鍵は生きていた
    • ステップ4:換金と最終保管——8時間にわたる段階的な資金抽出
  • 3. 考察——設計の問題か、前提の問題か
    • 3-1. 18回の監査は何を保証したか
    • 3-2.「分散型」がAWSに依存するとき
    • 3-3. Terra Lunaとの比較
    • 3-4. 静的な監査から動的な監視へ
    • まとめ
あなたがDeFiプロトコルのリスクを評価するとき、何を確認しますか?
多くの人はスマートコントラクトの監査レポートを調べます。監査企業の名前、審査されたコントラクト、発見された脆弱性とその対処状況。これらは今日の標準的なデューデリジェンスです。
では、そのプロトコルが「どのクラウドサービスに秘密鍵を預けているか」まで確認しているでしょうか。
2026年3月22日の夜明け前、Resolv Labs(USRステーブルコイン)で起きたことは、この問いに否応なく向き合わせる事件でした。コードは一行も壊れませんでした。監査済みのコントラクトは設計通りに動作しました。それでも約$25Mが消えました。
本稿では、攻撃の記録をオンチェーンデータで検証しながら、この事件が示すDeFiセキュリティの構造的な問いを考察します。

1. Resolv USRとRLPの仕組み

まず、Resolvがどのような設計のプロトコルかを整理します。
Resolvは、ETHを担保に$1ペッグを目指すステーブルコイン「USR」を発行するプロトコルです。担保のETHをそのまま保有するのではなく、デルタニュートラル戦略——先物のショートポジションを組み合わせることで価格変動リスクを相殺し、ステーキング報酬やファンディングレートを収益源とする設計です。同類のモデルとしてはEthena(USDe)が挙げられますが、ResolvはETH担保一本化と独自の保険レイヤーが特徴です。
プロトコルはUSRとRLPという二種類のトークンを持ちます。
収益はプロトコル全体の収益を70%(Base Reward: stUSR/RLPホルダーへ)と30%(Risk Premium: RLPホルダー独占)に分配します。RLPはリスクを引き受ける代わりに高リターンを狙うハイリスク・ハイリターンのポジションです。
※ 詳細な仕組み・Ethenaとの比較・エコシステム概要については、当社2025年1月レポート「Resolv|デルタニュートラル戦略ステーブルコインUSRと保険レイヤートークンRLPの概要とリスク、Ethenaとの比較考察」(Lawrence執筆)をご参照ください。

USR発行の仕組み——攻撃の入口

ここで重要なのは、USRの発行がオンチェーンの自律的なメカニズムではないという点です。発行は次の2段階のオフチェーンプロセスを経ます。
① requestSwap  : ユーザーがUSDCをUSR Counterコントラクト(0xa27a69Ae...)に預ける
② completeSwap : 特権秘密鍵(SERVICE_ROLE)を持つオフチェーンサービスがリクエストを承認し、発行量を確定する
コントラクトが強制するのは「最低発行量」のみです。最大発行量の上限はオンチェーンには存在しません。SERVICE_ROLE鍵の署名があれば、何枚でも発行できます。
この設計が、攻撃の入口でした。
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