論考:ビットコインは無国籍アセットであるが、米国の色が強い資産である
2025年11月14日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- 複数観点で見る近年強化された米国の影響力
- 現物ETFが資金と出来高の中心地に
- 価格発見の時間軸が米国時間に
- デリバティブはCMEが基準市場化
- カストディの米国寡占化
- マイニングの米国回帰
- 非西側の諸国のビットコインへの態度
- 結論
前提
ビットコインは無国籍アセットですが、2025年の市場構造や、アセットとしての定性的なイメージ・印象を俯瞰すると、米国の色がついた無国籍アセットとしての評価が強くなります。今回はこれらについて論じてみます。2025年1月20日にトランプ氏が第47代米国大統領に就任し、米国市場へのビットコインの期待はさらに高まりました。結果として、資金フロー、価格形成、インフラの観点で米国への依存度は強まっています。
筆者は直近数年に渡り、無国籍アセットに対して強気であり、かつ複数の無国籍アセットを保有すべきで、ビットコイン以外にもゴールドやシルバー、プラチナにもロングポジションであるべき理由を書いてきました。
しかしながらそれぞれの年初来パフォーマンスはビットコインが大幅に劣後しています。
- ビットコイン(BTC/USD):約 +8.7%
- ゴールド(XAU/USD・金先物ベース):約 +58.7%
- シルバー(XAG/USD・銀先物ベース):約 +81.6
- プラチナ(XPT/USD・白金先物ベース):約 +79.1%
近年、全世界的に無国籍アセットの買いが旺盛で、特に非西側諸国の中央銀行はゴールドの買いが顕著です。それに乗じて米国のヘッジファンドも貴金属のポジションを積み増しています。いわば貴金属は全世界参加型の相場になっています。
一方でビットコインについてはアメリカ主導、およびアメリカ友好国の主に個人投資家(日本や韓国)が参加する相場という色を強くしています。アメリカにはビットコインの機関投資家が存在しても、日本と韓国には機関投資家の数は限定的です。
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