多くの手数料分配形アプリケーショントークンは収益をあげていたとしても、なぜ中期でパフォーマンスが優れないか
2025年01月24日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- 多くの収益分配形トークンは収益をあげていたとしても、なぜ中期でパフォーマンスが優れないか
- ①BTCを中心とした暗号資産の価格が下る局面
- ②BTCを中心とした暗号資産の価格が上がる局面
- ③そもそも適正マルチプルが株式と比べて相対的に低い可能性
- 総括
前提
今回のレポートでは。多くの収益分配形トークンは収益をあげていたとしても、なぜ中期でパフォーマンスが優れないかを検討します。
暗号資産のトークン、特にDeFI系のプロトコルには実質的にプロトコルの収益をトークン保有者に分配する形式のものがあります。分配方式は、トークンをステーキングしているユーザーに当該トークン建て・あるいはステーブルコインで、分配したり、トークンをBuyBackしたりなどプロトコルによって方法は異なります。
またあるいは収益の全てを分配しなくとも、収益の一部をDAOで管理されるトレジャリーに蓄積するケースも存在します。ただしこの場合においても、企業の内部留保のようなもので、会社であればその資金も株主のものであると同様に、オンチェーントレジャリーも広義にはトークンホルダーのものです。
オンチェーンキャッシュフローがトークン価値の源泉になるという論理は古くからある概念で、例えば下記は5年前のレポートです。
分散型で運営されるDAOがあり、そのDAOが管理するプロトコルが稼ぐ手数料がトークンホルダーに分配されるというのは、今では多くのアプリケーショントークンの基本設計になっています。下記は収益力の高いプロジェクトの上位25です。
レイヤー1以外でかつトークンが発行されているプロジェクトとしては以下などが該当します。
- Raydium
- Jito
- Uniswap
- Maker
- Aerodrome
- Lido
しかしながらこのモデルで多額の手数料収入を稼ぎ、それをトークンホルダーに分配していても、トークンの価格パフォーマンスが優れない事例は少なくありません。
これらのトークンは非常に高い手数料収入を稼ぐプロジェクトですが、多くの場合価格は2021年頃の高値を超えておらず、直近1年は収益が上昇してもBitcoinのパフォーマンスに劣後しています。
また時価総額/プロトコル手数料収益(P/S ratio)を算出すると、例えばLIDOの場合は約18倍と評価されており、これは一般的な米国上場株式(S&P 500)のマルチプルより低いです。因みにこのようなトークン価格のマルチプルの算出などをするのにTokenterminalは有用なサイトです。
つまるところ、一部の例外こそあれど過去4年間ほど、多くの手数料分配形アプリケーショントークンは収益をあげていたとしても、中期でパフォーマンスが優れていない、また手数料収益が増加傾向でも市場での評価も切り上がらないということが言えます。
この状況はなぜ続いているのか、将来変わる見込みがあるのか次節で検討します。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。