Web3.0における最新資金調達トレンド分析|#01,Q1 2025
2025年01月13日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- #01_Q1 2025年「資金調達の潮流」
- 1.「2024年12月23日〜2025年1月12日」の資金調達トレンド
- 1.1.該当期間の出資フロー
- 2.セクター別資金調達トレンド
- 2.1.Infra|資金調達が加速するブロックチェーンとAIの融合:Privasea、Starpower、Nevermined..etc
- 2.2.CeFi|CeFiセクターの成長を牽引する資金調達事例:Sol Strategies、FalconX、Foldの戦略と市場影響
- 2.3.DeFi|DeFi領域ではステーブルコインの担保手法が多様化:Derive、Avalon Labs、Usual Labs..etc
- 2.4.Tools|SolayerのFuzzland買収、SoSoValueの資金調達、Accountableの信用評価改革
- 2.5.Games|SEEDとNakamoto Gamesが切り拓く新たなエコシステムとユーザー体験の未来
- 2.6.Social|Roam、MelosBoom、SilentBerryが描く次世代ソーシャルエコノミー
- 2.7.その他|Telegram特化型暗号通貨キャッシュバックアプリ「TONCASH」がTON Venturesの支援でグローバル展開へ
- 3.総括&所感
本シリーズでは、どのようなWeb3.0関連のスタートアップやプロジェクトに資金が集まっているのか、資金調達の最新の傾向とパターンを解説します。
今回は2024年12月23日〜2025年1月12日にかけての調査分析結果を共有します。
【分野別の主な話題】
- Infra|資金調達が加速するブロックチェーンとAIの融合:Privasea、Starpower、Nevermined..etc
- CeFi|CeFiセクターの成長を牽引する資金調達事例:Sol Strategies、FalconX、Foldの戦略と市場影響
- DeFi|DeFi領域ではステーブルコインの担保手法が多様化:Derive、Avalon Labs、Usual Labs..etc
- Tools|SolayerのFuzzland買収、SoSoValueの資金調達、Accountableの信用評価改革
- Games|SEEDとNakamoto Gamesが切り拓く新たなエコシステムとユーザー体験の未来
- Social|Roam、MelosBoom、SilentBerryが描く次世代ソーシャルエコノミー
- その他|Telegram特化型暗号通貨キャッシュバックアプリ「TONCASH」がTON Venturesの支援でグローバル展開へ
#01_Q1 2025年「資金調達の潮流」
※グラフ記載の$_Mは当該期間中の調達合計、(_cases)は調達したプロジェクト件数を表しています。なお、資金調達報告は確認されているものの調達額が公開されていない場合は、ケースとしてカウントしてはいますが、調達額の計算には含んではいません。
以下、「2024年12月23日〜2025年1月12日」「2025年度Q1」の資金調達の調査結果を共有します。
1.「2024年12月23日〜2025年1月12日」の資金調達トレンド
この期間中、公開された資金調達額ではインフラ関連($98.2M/16件)、CeFi関連($40M/6件)、DeFi関連($21.5M/8件)の順に多くの資金調達報告を確認しています。
より細かな分類(上図)では、CEX事業($30M/1件)、AI関連($28.5M/5件)、DePIN($22.5M/3件)に比較的多くの資金が流れていることを確認できます。
1.1.該当期間の出資フロー
各セクターでの資金調達(計40ラウンド)の内訳は、上記の出資フローを示すグラフでご確認いただけます。
この期間中に出資額、出資数で目立つ投資会社(投資家)はFramework Ventures、Binance Labsです。
-
Framework Venturesの出資先内訳
- Starpower:分散型エネルギーインフラ
- Avalon Labs:ビットコイン(BTC)担保のステーブルコインUSDaの発行者
-
Binance Labsの出資先内訳
- Thena:BNB Chain上のDEX
- Usual:実世界資産(RWA: Real-World Assets)に裏付けられたステーブルコインUSD0開発
2.セクター別資金調達トレンド
以下、各セクターごとの当該期間中の資金調達トレンドをまとめます。
2.1.Infra|資金調達が加速するブロックチェーンとAIの融合:Privasea、Starpower、Nevermined..etc
資金調達に関する近年の重要なプロジェクトの動向は、ブロックチェーンとAIの融合による新しい挑戦と機会を示しています。以下に、特に注目すべきプロジェクトを取り上げ、その資金調達額、投資家戦略、技術の特徴と市場への影響を総括します。
まず、PrivaseaはシリーズAラウンドで1,500万ドルを調達しました。この資金調達には、Binance Labsをはじめとする複数の投資家が参加しており、合計で1億8,000万ドルの評価額が設定されています。この資金は、PrivaseaのDeepSea AI Networkの展開を加速させるために使われ、完全同型暗号(Fully Homomorphic Encryption)技術と機械学習を統合し、暗号化されたデータ上での安全なAI計算を実現します。このプロジェクトは、金融、医療、スマート自動化などの分野においてAIツールを提供し、先進的な人間と機械の協働を目指しています。特に、これによりプライバシーが確保される未来のインフラの構築が期待されています。
次に注目すべきは、0G Foundationです。同社はAIノードの販売を通じて$30M以上を調達し、この資金調達はAI関連の分散型プロジェクトにおいて史上2番目に大きなものです。約91,000ノードの販売を行い、AI行動の監視、プロトコルの遵守、及びネットワークセキュリティの強化を目的にノードオペレーターには最大15%の報酬が提供されます。AIエージェントによる取引が急増する中、同プロジェクトはWeb3におけるAIエコシステムの重要な部分を形成し、分散化されたAIの整合性の向上に寄与します。
最後に、Neverminedが挙げられます。同社はAI間の経済取引を可能にするために$4Mを調達しました。このプロジェクトは、AIエージェント同士が自律的に経済活動を行うための革新を追求し、従来の金融インフラを超えるイノベーションを提供します。投資家にはgenventurecapやpolymorphiccapなどが名を連ねる中、Neverminedのプロトコルは、AIエージェントの自律的な経済活動を推進するためのマルチエージェント決済システムを強化し、AIコマースを形作る基盤を築こうとしているのです。
これらのプロジェクトは、ブロックチェーンとAIが融合する新たな市場を形成しており、投資家はこの成長の流れに注力しています。具体的には、Privaseaの技術はデータプライバシーと計算効率を両立させることで、新たなビジネスモデルを創出し、0G Foundationはノード運用を通じた報酬体系を構築することで、オープンで持続可能なAIエコシステムの形成を目指しています。また、Neverminedは、AI間取引を視野に入れた新たな経済活動を可能にする仕組みを提案しており、これまでに存在しなかったビジネスの可能性を広げています。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。