a16z Cryptoの「2024投資図鑑」&「2025展望」
2024年12月20日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 0.「2024年トレンド展望」のおさらい
- 1.a16z crypto「2024投資図鑑」
- 1.1.Infra|ブロックチェーン進化の鍵:vlayerのTime Travel、Espressoの共有シーケンサー、Eigen Labsのrestaking
- 1.2.Social|知財からソーシャルまで:a16z cryptoが支えるStory Protocol、Farcaster、KioskのWeb3革新
- 1.3.Games|ゲームとWeb3の融合:Azra GamesのRPG開発、BalanceのNFT統合、MagicBlockのSolana高速技術が切り拓く未来
- 1.4.DeFi|資産担保ファイナンスからリスクヘッジ市場まで:Tranched、Cork Protocol、OpenTrade
- 1.5.Tools|MBDが3,000万ドル調達:AI推薦システムで暗号通貨消費者アプリのパーソナライズ体験を革新
- 1.6.その他|a16z cryptoが牽引するWeb3新潮流:AminoChainのバイオサンプル市場とKIKI Worldの報酬型コマースが未来を拓く
- 2.a16z crypto「2025展望」
- 2.1.An AI needs a wallet of one’s own to act agentically
- 2.2.Enter ‘decentralized autonomous chatbots’
- 2.3.As more people use AI, we’ll need unique proof of personhood
- 2.4.Going from prediction markets… to better information aggregation for everything
- 2.5.Enterprises will increasingly accept stablecoins for payments
- 2.6.Countries explore putting government bonds onchain
- 2.7.We’ll see greater adoption of the ‘DUNA’, a new industry standard for blockchain networks in the U.S.
- 2.8.Liquid democracy online goes physical
- 2.9.Builders will reuse, not just reinvent, infrastructure
- 2.10.Crypto companies will begin with the end (-user experience), instead of letting the infrastructure determine the UX
- 2.11.‘Hiding the wires’ helps usher in web3’s killer app
- 2.12.The crypto industry finally gets its own appstores, and discovery
- 2.13.Crypto owners become crypto users
- 2.14.Various sectors may start tokenizing ‘unconventional’ assets
- 3.総括|2024年のa16z cryptoの投資動向を振り返りと来年のトレンド展望
- 3.1.2024年のa16z cryptoを総括
- 3.2.a16z cryptoが示した注目トレンドと2025年の展望
今年を総括するにはまだ早い、とは思われますが
本レポートでは、a16z crypto(Andreessen Horowitzの暗号資産特化ファンド)が2024年にどんなスタートアップに注目し、どんな投資実績を作り上げてきたのかを振り返りつつ、a16z crypto目線での2025年の主要トレンド展望を共有します。
もちろん、ここでお伝えするのは断定的な「予言」ではなく、現在見えている潮流やスタートアップ業界の動きをベースにしたあくまで1つの見方に過ぎません。
それでも、来年のWeb3・暗号資産領域の“呼吸”を感じるうえで、投資家とプロジェクトサイド、それぞれのシナリオや資金の流れを俯瞰することは大いに参考になるはずです。
ここからは、a16z cryptoが2024年に選んだ投資先や注目領域、そして2025年の展望を整理し、「いまのうちに押さえておきたい動向」を可能な範囲で描き出していきたいと思います。
※2024年 a16z cryptoの具体的な出資事例をまとめた総括ですので長文です。今年の振り返りと来年の展望のみをサッと把握したい方は、文末の総括をまず最初にご覧いただき、必要に応じて各章をご参考ください。
もちろん、ここでお伝えするのは断定的な「予言」ではなく、現在見えている潮流やスタートアップ業界の動きをベースにしたあくまで1つの見方に過ぎません。
それでも、来年のWeb3・暗号資産領域の“呼吸”を感じるうえで、投資家とプロジェクトサイド、それぞれのシナリオや資金の流れを俯瞰することは大いに参考になるはずです。
ここからは、a16z cryptoが2024年に選んだ投資先や注目領域、そして2025年の展望を整理し、「いまのうちに押さえておきたい動向」を可能な範囲で描き出していきたいと思います。
※2024年 a16z cryptoの具体的な出資事例をまとめた総括ですので長文です。今年の振り返りと来年の展望のみをサッと把握したい方は、文末の総括をまず最初にご覧いただき、必要に応じて各章をご参考ください。
0.「2024年トレンド展望」のおさらい
本題に入る前に軽く昨年末に公開された a16z crypto による2024年の暗号資産業界トレンド予測を振り返りながら、現在の状況と比較してみましょう。一年前に注目された視点や主張を再考することで、新たな気づきを得られるかもしれません。
※関連レポート:a16zが見込む暗号資産業界トレンド|9つの分野とその関連プロジェクトの概要
※関連レポート:a16zが見込む暗号資産業界トレンド|9つの分野とその関連プロジェクトの概要
[a16z crypto目線での2024年暗号資産業界トレンド一覧]
- 分散化の新時代への突入
- 分散化は、民主的で中立的なシステムを構築し、ユーザーに選択肢と所有権を提供する手段。しかし、分散型ガバナンスは複雑であり、実現には進化が必要。
- 未来のUXをリセットする
- 新技術(パスキー、スマートアカウント、埋め込みウォレットなど)が、Web3のユーザー体験を簡単・安全にし、主流化を加速。
- モジュラー技術スタックの台頭
- オープンソースのモジュラー技術は、ネットワーク効果を最大化し、競争と革新を促進する。
- AIとブロックチェーンの融合
- 分散型ブロックチェーンは、AIの集中化を抑制し、アクセスコストを削減。さらにAI生成コンテンツの透明性や出所追跡を保証。
- Play to EarnがPlay and Earnになる
- ゲームは仕事ではなく娯楽として、ユーザーが生成する価値を公平に分配するエコシステムへと進化。
- AIがゲームメーカーになるとき、クリプトは保証を提供する
- AIが生成するゲームの中立性と信頼性を保証するため、暗号技術が不可欠に。
- 形式的検証(Formal methods)をより簡単に
- スマートコントラクトの脆弱性対策として、形式的検証ツールがシンプルかつ効率的に進化し、開発者に普及。
- NFTがユビキタスなブランド資産になる
- 企業がNFTを活用し、顧客ロイヤリティやアイデンティティ強化、物理商品とのブリッジ、共創体験を推進。
- SNARKが主流になる
- SNARKs技術の進化により、計算の信頼性証明がコスト効率的に実現され、多くの用途(例:コンテンツ真偽証明、金融監査)が生まれる。
全体として、2024年は「分散化、ユーザー体験の刷新、AIとの統合、NFTや暗号技術の普及」が進み、ブロックチェーンの実用化がさらに加速する見通しが示されていたわけですが、つまるところ、2023年末までに信じられていた一連のナラティブは、それぞれの流れごとに、
- 大きく飛躍して加速したもの
- 予想通りの伸びを見せず停滞したもの
- 過度な期待が剥がれて幻滅されたもの
- 一旦目立たなくなり「ステルスモード」に入ったもの
のいずれかの軌跡をたどったと整理できるわけです。こうした振り返りは、単なる反省ではなく、今年発表された来年の注目トレンドを読み解く重要な視点を提供します。
1.a16z crypto「2024投資図鑑」
上はa16z cryptoが2024年に参画した一連の資金調達ラウンドの資金の流れと量を可視化したサンキーダイアグラムです。
本節では、この2024年に実施した一連の出資データを参考に、昨年時点での注目トレンドや来年の注目トレンドを踏まえつつ、実際の出資傾向をカテゴリーごとに確認していきます。
※なお、表示金額は各プロジェクトの調達額を示すものであり、a16z cryptoのみの出資額を示すものではありません。
※線の太さは出資額に比例しています。なお出資額の算定は、便宜的に出資総額/出資者数で算出しています。また、リードインベスターが存在する場合は出資額の50%をリードインベスターが出資していると仮定して計算しています。出資額非公開の場合は仮の数値を代入した細線で可視化しています。
1.1.Infra|ブロックチェーン進化の鍵:vlayerのTime Travel、Espressoの共有シーケンサー、Eigen Labsのrestaking
2024年にa16z cryptoがインフラ領域のプロジェクトに出資した数は、確認した範囲では15件。昨年の注目トレンドに挙げていた「モジュラー技術スタックの台頭」や「未来のUXをリセットする」のようなトレンドを抑えたかのような出資傾向を確認できます。特にモジュール化は昨年も主張していましたが、今年発表した2025年の注目トレンドでもその主流化がさらに進む可能性について言及しています。
以下、2024年に特に注目されたインフラ分野のプロジェクトをいくつかピックアップします。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。