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Web3.0における最新資金調達トレンド分析 #49|ステーブルコイン市場の活発化および欧州の暗号資産規制(MiCA)の影響か、欧州ステーブルコイン市場を対象とした資金調達が活発

2024年12月01日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)

目次

  • 前提
  • #49_資金調達の潮流
  • 1.「2024年11月」
  • 2.「直近1週間」
    • 2.0.ステーブルコイン市場の活発化および欧州の暗号資産規制(MiCA)の影響か、欧州ステーブルコイン市場を対象とした資金調達が活発
    • 2.1.非中央集権型のデジタルアイデンティティ基盤を構築するRarimo、ヴィタリック・ブテリンなど著名な創業者たちから250万ドルを調達
    • 2.2.元Revolut社員が開発するステーブルコイン決済対応のネオバンクアプリ「Bleap」、230万ドルを調達
    • 2.3.ブロックチェーン技術を活用したリアルタイム決済サービスを提供するPartior、ドイツ銀行が戦略的投資家として参加するシリーズBラウンドで総額8000万ドルを調達
  • 3.「2024年度Q4」
    • 3.1.資金調達を実施したプロジェクト概観
    • 3.2.資金調達が活発なカテゴリー
  • 4.投資会社(投資家)の動向
    • 4.1.直近一週間の出資フロー
    • 4.2.活発な投資会社の特定(四半期別)
  • 5.補足資料
    • Infra
    • DeFi
    • CeFi
    • Games
    • Social

前提

本シリーズでは、どのようなWeb3.0関連のスタートアップやプロジェクトに資金が集まっているのか、その最新の傾向とパターンを解説します。今回の#49では、2024年11月23日から2024年11月29日にかけての資金調達活動を調査し、どのカテゴリーが最も注目を集め、どのような特徴が見られるのかを分析しています。
【今週の主な話題】
  1. 非中央集権型のデジタルアイデンティティ基盤を構築するRarimo、ヴィタリック・ブテリンなど著名な創業者たちから250万ドルを調達
  2. 元Revolut社員が開発するステーブルコイン決済対応のネオバンクアプリ「Bleap」、230万ドルを調達
  3. ブロックチェーン技術を活用したリアルタイム決済サービスを提供するPartior、ドイツ銀行が戦略的投資家として参加するシリーズBラウンドで総額8000万ドルを調達
…etc
※本レポートでは当該期間中のトレンドのみを取り上げて解説します。各プロジェクト概要は添付リストの概要欄及び参照URLをご参考ください。

#49_資金調達の潮流

※グラフ記載の$_Mは当該期間中の調達合計、(_cases)は調達したプロジェクト件数を表しています。なお、資金調達報告は確認されているものの調達額が公開されていない場合は、ケースとしてカウントしてはいますが、調達額の計算には含んではいません。
以下、「2024年11月」「直近1週間」「2024年度Q4」の資金調達の潮流を概説します。

1.「2024年11月」

調査時点で観測している11月の投資ラウンド件数は計96件、公開情報に基づく調達額は約$0.49B(※非公開情報を含まない金額)の資金調達報告を確認しています。

2.「直近1週間」

直近一週間の投資ラウンド件数/週は23件、公開情報に基づく調達額/週は約$122M(※非公開情報は含まれません)です。
この期間中、公開された資金調達額ではDeFi($57.5M/9件)、Infraセクター($49.8M/6件)、CeFiセクター($9.66M/3件)の順に多くの資金調達報告を確認しています。
より細かな分類(上図)では、ステーブルコインプロトコル($51.5M/2件)エンタープライズブロックチェーン($20M/1件)、L1($19.8M/2件)に比較的多くの資金が流れていることを確認できます。

2.0.ステーブルコイン市場の活発化および欧州の暗号資産規制(MiCA)の影響か、欧州ステーブルコイン市場を対象とした資金調達が活発

ステーブルコイン時価総額推移|出典:https://www.coingecko.com/en/categories/stablecoins
2024年11月、ステーブルコイン(価値が安定している暗号通貨)の市場価値は過去最高の1900億ドルに到達し、今年だけで46%増加しました。さらに、ヨーロッパの暗号資産に関する新規制(MiCA)の影響も見られ、ユーロ建てのステーブルコイン市場を対象とした動向も活発になっています。たとえば、Schuman Financialは新しいユーロ建てステーブルコイン「EURØP」の開発のための資金を集めたり、PaxosはMiCAに準拠した資産ポートフォリオを構築する目的でMembrane Finance(本シリーズ#48文末に概要掲載)を買収するなどの動きがあります。
このほか、元RevolutおよびLedgerの社員が開発するステーブルコイン決済対応のネオバンクアプリ「Bleap」(※概要後述)が資金調達を実施しています。同社はイギリスで法人化され、ポーランドでVASP登録されており、「MiCA」に準拠させたサービス提供を可能にしています。
ユーロ建ステーブルコインの時価総額推移|出典:https://www.coingecko.com/en/categories/eur-stablecoin
なお、資金調達には関係しませんが、Tether社はMiCA規制対応コストが課題となり欧州市場でシェアを獲得(上チャート参考)していたユーロ建ステーブルコイン$EURTのサポート終了を告知しています。いまのところはTether社が直接MiCA準拠ステーブルコインを発行する可能性は低いと考えられますが、EURQやUSDQのようなMiCA準拠ステーブルコインとの戦略的提携を模索する可能性はあるかと思われます。

2.1.非中央集権型のデジタルアイデンティティ基盤を構築するRarimo、ヴィタリック・ブテリンなど著名な創業者たちから250万ドルを調達

出典:https://mirror.xyz/0x90699B5A52BccbdFe73d5c9F3d039a33fb2D1AF6/u0oCz4_BPbCZPqDP47uauGboBX1ZWM-TL_0rv_1JnaU
非中央集権型のデジタルアイデンティティ基盤を構築するRarimoが、創業者限定の「ビジョンラウンド」で250万ドルを調達。この資金調達には、Ethereum共同創設者ヴィタリック・ブテリンなど著名な創業者が参加しました。
Rarimoは、従来の中央集権モデルが抱えるハッキングや検閲のリスクを回避する目的でZK SNARKS技術を活用したプライバシー保護とユーザーの所有権を重視した非中央集権型のデジタルアイデンティティ基盤を構築しています。
同社の投票ソリューション「Freedom Tool」は、ロシアの反体制派が安全に投票を行う際に利用されるなど、プライバシーの強さが実証されています。また、ZKアイデンティティレジストリを通じてオンラインの協調やコミュニケーションを変革する可能性も期待されています。2025年第1四半期にはEthereum上でのロールアップ移行を計画しており、さらなる展開が注目されています。
[参考]
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