今回のレポートでは最近の相場の強力な背景となっているアメリカ財政赤字を理解し、シナリオ点検することを試みます。

秋口から顕著になっているマーケットの動きは、米国長期金利が上昇、つまり米国国債が売られて、ゴールドやBitcoinが株式を超えるパフォーマンスを演出していることです。

米国債が売られているということは米国の財務状況に懸念する投資家が増えていることを示しています。また中国をはじめとした海外政府部門が米国債への投資を以前と比べて抑制していることも米国債の需要に影響を与えています。ロシアがウクライナ侵攻で米国債を凍結させられた経験から、米国債の保有に対して懸念をされているためです。

このような事情についてこれまで度々触れてきており、例えば下記のレポートでも解説してきました。

関連レポート：2024年下期に向けたBitcoinへの投資スタンス

しかしながら最近になって利下げをしているにも関わらず長期金利が上昇しているのは、米国財政がより深刻度が増しているためです。また2024年の大統領選挙で、トランプとハリスのどちらが大統領になってもより財政赤字が拡大する見込みとなっています。両者ともポピュリズム的な公約によるバラマキによって政府支出を増やす見込みです。

この財政赤字はマーケットに影響を今後も与え続けますが、今回はいくつかシナリオ点検を試みます。