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Story Protocol インターネットのコラボ文化の発展を支えるオンチェーンでの知的財産(IP)管理の仕組み

2024年09月10日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)

目次

  • 前提
  • Story Protocolの概要
  • 実際のIP活用例:クリエイター同士のコラボレーション
  • 総括

前提

Story Protocolは、知的財産(IP:Intellectual Property)の管理とライセンス活用を効率化するために設計されたブロックチェーンプラットフォームです。
クリエイターや企業がIPをより簡単に保護し、収益化できる技術的基盤を提供し、クリエイティブな活動を支援することが目的です。
現在、インターネットを通じてリミックスやコラボレーション文化が発展しています。例えば、TikTokのデュエット動画、ファンによるフィクションサイドストーリー、音楽のリミックス、ゲームのMODなど、誰もが他者の作品を土台にして新しいコンテンツを作り出していることが知られています。
このような文化が広がる一方で、二次創作クリエイターのIPの認知拡大への貢献が可視化しにくいことや、IPの無断使用などの侵害リスクも高まっています。日本企業でもIPの活用とブロックチェーンの活用は模索されていますが、
  • 無許可で使用されてしまうことがあったり、IP管理窓口をどこが担当しているかが分かりにくい
  • 二次創作ではオリジナルの世界観から逸脱してしまうリスクもある
といった課題が挙げられています。
従来のIP管理システムは、こうした複雑な問題に対処するには限界があり、特にAIの進化による急速なコンテンツ生成がIP管理をより困難にしていると筆者は認識しています。
Story Protocolは、従来の法制度に取って代わるものではなく、法的枠組みを補完し、より効率的にIPを管理するためのオンチェーンのレールを提供するプラットフォームとして開発され、上記のような課題にアプローチします。執筆現在ではテストネットが公開されています。
Story Ptorocolは、すでにシリーズBのラウンドでa16zcryptoを含め合計1.34億ドルもの資金調達を行っており、web3やIPテックの領域から高い注目を集めています。
本レポートでは、Story Protocolの概要、仕組みを整理するとともに、実際の活用ケースを明らかにすることに焦点をおいて解説します。
Story Protocol 基本情報

Story Protocolの概要

Story Network:IP特化のレイヤー1ブロックチェーン

Story Protocolの基盤となるのが、Story Networkです。これは、知的財産管理に特化したレイヤー1(L1)のブロックチェーンで、Ethereum Virtual Machine(EVM)互換性がありながら、Cosmos SDKを使用して高い処理能力を持たせています。
これにより、複雑なIPデータ構造を管理できるプロトコルを搭載し、迅速かつ低コストで処理できるようにしています。全体像としては以下のような構造になります。各要素については後述します。

https://docs.story.foundation/docs/explain-like-im-five を参考に筆者作成


たとえば、IPのライセンス条件や利用状況を追跡するために、搭載された機能を活用しCometBFTスタックを用いたコンセンサス層を通じて、迅速なトランザクション処理とコスト効率を両立しています。
これにより、他のブロックチェーンやオフチェーンのIP資産を統合し、グローバルなIPハブとして機能します。

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