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Web3.0における最新資金調達トレンド分析 #35

2024年08月25日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)

目次

  • 前提
  • #35_資金調達の潮流

前提

本シリーズでは、どのようなWeb3.0関連のスタートアップやプロジェクトに資金が集まっているのか、その最新の傾向とパターンを解説します。今回の#35では、2024年8月17日から2024年8月23日にかけての資金調達活動を調査し、どのカテゴリーが最も注目を集め、どのような特徴が見られるのかを分析しています。
【今週の主な話題】
  1. 知的財産権(IP)の分散管理の実現に注力するStory Protocol、A16z CryptoリードのシリーズBラウンドで8,000万ドルを調達
  2. ブロックチェーン向けの特殊な暗号化処理を行う新しいプロセッサを開発するFabric CryptographyがシリーズAの資金調達ラウンドで3300万ドルを調達
  3. 分散型アイデンティティ検証レイヤーを開発するzkMe Technology Limited、Multicoin Capital主導のシードラウンドにて400万ドルを資金調達
  4. BTCをガストークンとして使用するイーサリアムL2「Corn」、Polychain Capital主導のシードラウンドで670万ドルを調達
  5. Bitcoinの再ステーキングプラットフォームであるSatLayer、プレシードラウンドで800万ドルを調達
※本レポートでは当該期間中のトレンドのみを取り上げて解説します。各プロジェクト概要は添付リストの概要欄及び参照URLをご参考ください。

#35_資金調達の潮流

※グラフ記載の$_Mは当該期間中の調達合計、(_cases)は調達したプロジェクト件数を表しています。なお、資金調達報告は確認されているものの調達額が公開されていない場合は、ケースとしてカウントしてはいますが、調達額の計算には含んではいません。
以下、「2024年8月」「直近1週間」「2024年度Q3」の資金調達の潮流を概説します。

1.「2024年8月」

調査時点で観測している8月の投資ラウンド件数は計82件、公開情報に基づく調達額は約$0.75B(※非公開情報を含まない金額)の資金調達報告を確認しています。

2.「直近1週間」

直近一週間の投資ラウンド件数/週は27件、公開情報に基づく調達額/週は約$367M(※非公開情報を含まない金額)です。
この期間中、公開された資金調達額ではマイニングセクター($175M)、ソーシャルセクター($80M)、インフラセクター($73M)の順に大きく、件数ではインフラ(9件)、DeFi(6件)、ゲーム(3件)の順に多くの資金調達報告を確認しています。
より細かな分類(上図)では、マイニング産業($175M/1件)、クリエイターエコノミー($80M/1件)、ゼロ知識証明技術($37M/2件)関連に比較的多くの資金が流れていることを確認できます。

2.1.知的財産権(IP)の分散管理の実現に注力するStory Protocol、A16z CryptoリードのシリーズBラウンドで8,000万ドルを調達

Story Protocolを開発するProgrammable IP(PIP) LabsがA16z CryptoリードのシリーズBラウンドで8,000万ドルを調達。今回のシリーズBラウンドにより、PIP Labsの資金調達総額は1億4000万ドルに達しました。
Storyプロジェクトは、①Story Network(レイヤー1ブロックチェーン)、②Proof-of-Creativity Protocol (スマートコントラクト)、③Programmable IP Licenseで構成されるIP(知的財産権)の分散型管理の実現を目的としたプロジェクトです。
  1. Story Network
    EVM及びCosmos SDKの長所を組み合わせた汎用レイヤー1ブロックチェーンであり、EVMと100%互換性があり、グラフデータ構造をサポートするために実行レイヤーが最適化され、IPのような複雑なデータ構造を迅速かつコスト効率よく処理することを目的として構築されています。
  2. Proof-of-Creativity Protocol
    Story Network上にIPアセット(IPA)を登録するためのスマートコントラクトです。IPはNFTまたはERC-6551(トークンバウンドアカウント)の実装を変更したトークン規格として表すことができ、IPに関する条件をモジュールとして組み込むことも可能であるとしています。例えば、派生作品を作るクリエイターはライセンスモジュールを用いることで、作品をシームレスに拡張することが可能になる
  3. Programmable IP License
    IPAそのものはオンチェーン管理されるものではありますが、IPAの法的有効性を確保するために、Programmable IP License (PIL)と呼ばれるオフチェーンの法的契約を紐付けるライセンステンプレート(モジュール機能)が用意されています。クリエイターがどのようにIPをリミックスし、収益化し、派生作品を作成することができるかについての実際の法的条件を概説するものです。
[参考]
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※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。