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MakerDAOからSkyへ リブランド背景と今後の影響

2024年08月31日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)

目次

  • はじめに
  • なぜSkyにリブランドされるのか?
  • これは単なるリブランドなのか?
  • どのような変化がMakerDAOのエコシステムに起きるのか?
  • 今後の発展と課題
  • DeFi規制強化の世界線で市場のニーズを掴むSky・USDS
  • 総括

はじめに

MakerDAOは、DeFiで代表的なプロダクトであるステーブルコインDAIとガバナンストークンMKRを通じて、多くのユーザーに信頼と価値を提供してきました。
しかし、2024年9月18日から、MakerDAOは「Sky」という新しいブランドのもとで活動を開始し、DAIとMKRをそれぞれUSDS(Sky Dollar)とSKYという新しいトークンにアップグレードするオプションをユーザーに提供することを発表しました。
参考:Sky has arrived
これは単なるリブランドではなく、Endgameと呼ばれる大規模なプロトコル再構築計画の一環であり、DeFiエコシステムのさらなる進化と拡大を目指すものです。
本レポートでは、リブランドの理由と背景、アップグレードの概要、エコシステムへの影響、今後の課題と展望について解説します。

なぜSkyにリブランドされるのか?

ステーブルコインの現状としては、DeFiLamaによればトータル時価総額で、169bドルです。そのうちDAIはおよそ3%を占めており時価総額は5.25bドルです。
Skyへのリブランドは、MakerDAOの成長戦略Endgameに基づくものです。
この計画の根底にあるのは、「DeFiを巨大なスケールで成長させる」という目標です。Rune Christensen氏によれば、DeFiのスケールアップは、既存のシステムが抱える制約を超えて、より広範なユーザー層にリーチするために不可欠であるとされています。
具体的には、いくつかの理由が挙げられます。

1.ユーザーフレンドリーなアプローチ
従来のMakerDAOのシステムは、特に新規ユーザーにとっては複雑で分かりにくい部分がありました。Skyへのリブランドは、より直感的で使いやすいインターフェースを提供し、新規ユーザーの参加を促進することを目指しています。
新しいインターフェース「Sky.money」を通じて、ユーザーはトークンの管理や報酬の獲得、さらにはDeFiサービスへのアクセスを簡素化することができます。

2.エコシステムの成長と多様化
Skyでは、従来のMakerDAOの枠を超え、異なるニーズを持つユーザーや開発者が多様なユースケースに対応できるようにするため、エコシステム全体を再設計しています。
これは、新しいトークンと機能を導入し、エコシステムの価値を多様化することで実現されています。
具体的には、「Stars」と呼ばれる独立したエンティティが導入され、特定の分野での専門的な機能やサービスを提供することで、エコシステム全体の多様性が高めるつもりです。
例えば、「Spark」はレンディングに特化し、特定のニーズに応じたサービスを提供することでエコシステムを強化します。これにより、エコシステムはより多様で専門的なユースケースをサポートすることが可能になります。

3.競争力の強化
DeFi市場での競争が激化する中、Skyは、新しい報酬システムやガバナンスモデルを通じて競争力を強化し、エコシステムの成長を促進する戦略を採用しています。
特に、USDSを保有するユーザーに対する「ネイティブトークン報酬」の導入は、ユーザーのエンゲージメントを高め、プロトコルの利用を促進するための重要な施策となります。

これは単なるリブランドなのか?

リブランドは単なる名前の変更以上の意味を持ち、ユーザーに対していくつかの具体的な選択肢を提供するものです。アップグレードの概要を以下にまとめます。

1.トークンのアップグレードオプション
ユーザーは、DAIをUSDS(1:1)に、MKRをSKY(1:24,000)にアップグレードするオプションを持っています。
これは任意の選択であり、ユーザーが希望しない場合は、既存のトークンを保持し続けることが可能です。USDSには、凍結機能があり不正な利用などが認められた場合に起動されます。
このアップグレードにより、ユーザーは新しい報酬や機能にアクセスできる一方で、既存のトークンの安定性を保持することもできます。

2.新しい報酬システムの導入
USDSをステークすることで、ユーザーはSkyプロトコル内でSKYトークンを報酬として受け取ることができます。
この「ネイティブトークン報酬」は、外部のリスクに晒されることなく、プロトコル内で安全に運用されます。
また、「Sky Savings Rate(SSR)旧DAI Saving Rate」も引き続き利用され、利息収益を得ることが可能です。

3.新しいユーザーインターフェース「Sky.money」の導入
Sky.moneyは、ユーザーがプロトコルとより簡単にインタラクションできるように設計された新しいデジタルプラットフォームです。
これにより、トークンの管理、報酬の獲得、さらにはDeFiサービスへのアクセスが簡素化されます。このプラットフォームでは、VPNが検出されるとブロックされます。また、利用規約に同意することが利用する条件になります。

どのような変化がMakerDAOのエコシステムに起きるのか?

Skyへの移行は、MakerDAOのエコシステムにいくつかの重要な変化をもたらします。
Skyプロトコルでは、「Stars」と呼ばれる新しい独立したガバナンスを持つエンティティの概念が導入されます。これらは以前のSubDAOと同様の役割を持ちつつ、より特化した機能を提供することが目的です。

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