web3の思想背景
2023年04月06日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- 思想とテクノロジーが結びつき、社会的変革の原動力に
- web3へと繋がる思想背景
- web3における新しい思想の潮流
- 総括
前提
2022年以降、暗号資産市場では低迷が続き、暗号資産関連企業の破綻やレイオフといった暗いニュースも多く、web3業界には停滞感が漂っています。しかし、この冬の静けさの中で、クリプトに関連する知識や教養を深めることに時間を費やすのは、一つの有意義な過ごし方です。そんな中、web3の思想的リーダーとして活躍する、Vitalik Buterinの著書を購入してみたものの、その難解な内容に挫折し、本棚に飾っている方も多いかもしれません。
それもそのはず、英語版の表紙にも「the Philosophy of Blockchains」と記載されているように、この本は一種の「哲学書」だからです。彼の著作は、歴史・思想といった豊富な教養に基づいた、深い哲学的考察と緻密な論理構造が特徴であり、前提知識なしにその内容を理解することは容易ではありません。
歴史上、思想や哲学はテクノロジーの進歩と結びつき、社会の変革を推進する重要な原動力となってきました。現代社会においても、科学技術やITのイノベーションが人々の価値観を大きく変え、さらに思想や哲学として体系化されていくことで、従来の社会の枠組みを超えた新しい社会形態に移行していくと考えられます。そのため、web3の文脈においてもテクノロジーだけでなく、その思想や哲学的背景について理解を深めることが、未来を見通す上で役に立つでしょう。
本レポートでは、web3の思想を理解するために必要な前提知識として、web3の思想・哲学的な背景を紹介します。具体的には、社会契約論や政治哲学について、基本的な考え方を説明し、web3の思想との関連性を示します。特に、米国の政治哲学に焦点を当て、リベラリズム、リバタリアニズム、コミュニタリアニズムといった主要な思想を紹介します。最後に、web3の先端をいく思想的リーダーたちがどのような未来を描いているのか、事例を紹介します。
[Executive Summary]
- 歴史上、思想とテクノロジーの結びつきは、社会的変革を推進する重要な原動力となってきた。web3も同様に社会に新たな変革をもたらす可能性を秘めているが、思想背景の理解には基本的な概念や理論の知識が必要である。
- web3の思想は、ヨーロッパの社会契約論や米国の政治哲学に影響を受けている。特に米国政治哲学のリベラリズム、リバタリアニズム、コミュニタリアニズムといった3つの思想的立場を理解することが、web3を深く理解するために不可欠となる。
- リベラリズムは、個人の自由と権利を尊重し、平等かつ公正な社会の実現を目指す。リバタリアニズムは、個人的・経済的な自由を最も尊重し、国家の介入を最小限に抑えることを主張する。コミュニタリアニズムは、コミュニティを重視し、倫理観・道徳観を重視する。
- さらに、これらの思想はインターネットなどのデジタル技術革新と相まって、サイファーパンクやハクティビズムといったデジタルカウンターカルチャーへと発展し、暗号資産やweb3の思想的な基盤へと繋がった。
- 現在、web3の思想は、歴史的な思想や哲学の論理を参考にしながら構築されつつあるが、その議論の範囲が広がってきている。最近は、非中央集権型システムが現実社会と結びつき、例えばweb3を公共財として活用することで、民主主義の改編が試みられている。
- 現代社会では多くの不安要素が高まる中、新しいイノベーターやビジョナリー達が新しい思想を形成しつつある。この新しい思想の潮流は、 web3の技術が組み合わせることで、現代社会に大きな変革をもたらす可能性を秘めている。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。