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Visaが提案するStarkNetを用いたサブスクリプションモデルの仕組みの解説と考察

2023年01月27日

目次

  • 前提
  • Visaの提案するサブスクリプションモデルの概要
  • 暗号資産を用いたセルフカストディウォレットによるサブスクリプションモデルを実現する必要性とは何か
  • 決済企業が取り組む動機と今後の予想
  • 総括

前提

本レポートでは、大手決済企業であるVisaが提案するStarkNetを用いた暗号資産のサブスクリプションモデルの実現方法の解説と考察を行います。

2022年12月にVisaはStarkNet上でArgentウォレットを使った「自己管理型(セルフカストディアル)ウォレット」による暗号資産のサブスクリプションモデルのアプリケーションを構築して提案を発表しました。Visaは、今後セキュリティ、スケーラビリティ、インターオペラビリティ、プライバシーなど支払いにとって重要な領域に焦点を当て、Web3インフラとブロックチェーンプロトコル分野に積極的に取り組んでいく姿勢を示しています。

現在のSaaS(Software-as-a-Service)の多くはサブスクリプションモデルを導入しています。その理由はユーザーにとって毎回の支払いの手間を減らす利便性であり、企業としても収益の安定性と収益計画の立てやすさというメリットがあるからでしょう。

Web3サービスでは、専用のツールを用いる場合を除きトランザクションを手動で行う必要がありUXの制限が強いです。こうした理由からトークンゲートや一括前払いをするなど、Web3プロジェクトの持続的な財務運営が円滑に進めづらい問題があります。また、暗号資産のハッキングや秘密鍵の奪取などがある中、ウォレットで暗号資産を安全に保管する方法については引き続き議論が必要です。今回のVisaの取り組みは、これらの課題に対する一つのアプローチとなります。

暗号資産の自動定期支払いを行ったり、定期的にトークンを購入する、支払先を分割するといったWeb3サービスツールは既にいくつか提供されています(CaskSuperfluidDrips)。これらはいずれもアプリケーションレイヤーにおいて、ユーザー資産の承認をアプリケーションのコントラクトが受け取り、自動定期的に処理を実行するものです。今回Visaが提案するものは、これらのアプリケーションとはアプローチが異なり、セルフカストディアルウォレットにおけるコントラクトアカウントを活用した暗号資産のサブスクリプションを実現する方法です。
なお、Ethereumにおいては、EIPでこれまでサブスクリプションモデルの議論が展開されてきましたが、実装に至っていないのが現状です。
参考:

そこで本レポートでは、Visaの提案内容にフォーカスして実現方法を解説し、セルフカストディアルウォレットによる暗号資産のサブスクリプションモデルを実現する必要性や、なぜVisaがこれに取り組む動機があるのかを検討した上で、筆者の考察を述べます。

参考記事
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※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。