「試行錯誤が続くNFTブランディング」特集|9月9日~9月22日の期間限定レポート

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  • 「試行錯誤が続くNFTブランディング」特集

「試行錯誤が続くNFTブランディング」特集


【紹介レポート一覧】
  1. Nouns DAOの概要 成功するNFTプロジェクトの秘訣を学ぶ
  2. Web3の片鱗(2)|僕らの退屈な日々を彩るのは「楽しさ」ではなく「興奮」である〜ミームNFTに垣間見る退屈さ〜
「試行錯誤が続くNFTのブランディング」をテーマにNFT関連のレポート計2本ご紹介致します。一つはNouns DAOに関連するレポート、もう一本は退屈をテーマにしたミームNFT関連のエッセイです。

一時期に比べるとNFT界隈も幾分落ち着いた雰囲気を帯びてきました。このような状況を俗に「冬の到来」と形容するものなのだと思います。冬の時代とは市況の冷え込みを意味するものではあっても「冬=つまらない」を必ずしも意味するものではありません。冬をどう過ごすかは人それぞれですが、人によっては冬ならではの現象を楽しんで過ごすという方もいらっしゃいます。
冬ならではの現象にも様々ありますが、その一つが「夏の成功と失敗を踏まえた新たなアプローチの萌芽」です。
夏の時代というのは基本的に成功しているプロジェクトの成功要因を把握して模倣するだけでそこそこにうまくいきます。ですから、新規プロジェクトは新たなアプローチを採用するよりも、模倣する方がコスパが良いので市場は類似プロジェクトで溢れかえります。これはクリプトに限らない流行りものにはよくある現象でしょう。
一方、冬の時代はそうはいきません。なぜなら模倣先となる夏の成功要因と期待する結果の相関性が環境の変化によって失われている場合もあるからです。ですから冬の時代は夏の時代のプロジェクト群の成功と失敗をもとに仮説と検証を重ねた新たなアプローチの提案が目立つようになっていきます。
以下「NFTのブランディング」に関連するアプローチの変化、過去のブランド構築の如何に触れたレポートの概要を掻い摘んでご紹介していきます。

その1「市場流通量の調整」

夏の時代に生まれたジェネレーティブ系NFTプロジェクトの多くはリリース時に10,000個のNFTを一斉に流通させるのが一般的でした。
とはいえ、注目を集めることさえできれば即売り切れる時代は今は昔であり、その手法自体がブランド構築に不利に働く場合があることも理解されるようになってきました。最近はNFTを「一斉に」ではなく「段階的に」流通させるモデルも増えてきています。
なぜ「段階的に」流通させるのでしょうか。その理由はブランド構築期間と価格形成期間のギャップを調整するためです。
言わずもがな「ブランドは一夜にして成らず」であり、ブランド形成を成し得ていないうちに、市場に多くのNFTを解き放てばどうなるでしょうか。うまく注目を集めることができれば即売り切れるかもしれません。しかし、購入したすべての人がそのプロジェクトの本物のファンなのでしょうか。過去これまで多くのプロジェクトが経験したように、注目(投機熱)が冷め始めるあたりから緩やかに売り圧が高まりはじめ、次第に市場価格維持に苦戦するようになっていきます。市場価格が低迷すれば本来ファンであった保有者の気持ちも揺らぎ始めますからプロジェクト運営側は価格を維持するために都度追加の施策を打ち続けなければなりません。
もちろんそれでフロアプライスを維持することも可能ですが、市場に施策をふりまわされることになりますからあまりクールな手法とは言えないでしょう。注目の奪い合いは一時的に勝つことはできても、勝ち続けることは極めて困難です。市場から注目されていない期間をどう生き延びるかも踏まえて最初のトークン流通量を計画する必要があります。当然フロアプライスが崩壊すればブランドを維持することも難しくなり、その後も流通量に見合う需要(ファン層)確保に苦戦することにもなり得るでしょう。
この課題を踏まえた上で見直されてきている手法が本物のファン層が広がる速度に合わせて市場にNFTを段階的に流通させていく方法です。この市場流通調整の手法はアナログで展開されるものもありますが、ツール化の試みも出てきています。この辺りの動向はまた別の機会にレポート化して関連情報をお届けしたいと思います。
今回の関連記事①ではこの領域のパイオニアでもあるNouns DAOの概要レポートを公開します。デイリーオークション形式の供給モデルを採用して中長期のブランド形成に成功したNounsの手法は多くの新規プロジェクトの参考となるでしょう。

その2「アナウンス戦略」

先日、筆者の知人である高校の美術教師から興味深い話を聞きました。毎年学生が好きな題材を決めて作品をつくる授業があるそうなのですが、いつもトレンドになっている芸能人やアニメのキャラクターが題材としてあがってくるのだそうです。そして、なんと今年一人の学生がBAYC(Bored Ape Yacht Club)を作品の題材に取り上げていたというので筆者は非常に驚きました。
今でこそブルーチップNFTと評されるほどの有名NFTプロジェクトではありますが、BAYCの当初のコンセプトやそのアナウンス戦略から導き出されるターゲット層はクリプトで意図せず人生あがりをしてしまった退廃的な人々ですから、一般的な高校生のイメージとは幾分かけ離れています。その後のブランド戦略によって、それだけBAYCの認知度が広がったのだという証拠なのかもしれませんが。
何の脈絡もなくはじめた私事ですが、BAYCをはじめとする成功したPFP NFTは独自のアナウンス戦略をとっていたことが知られています。BAYCのアナウンスの特徴は“Fuck it”のような悪態をついた告知方法にありました。BAYC(Bored Ape Yacht Club)が描く退屈な猿は、クリプト投資で人生あがりをしてしまい退屈になってしまった人々の暗喩です。かつてのブルジョア層とは異なり、現代の我々労働階級は自由な時間をどう使うかを教わって育てられてはいません。ですからお金と時間を持て余した彼らの退屈は解消し難いペインであり、そのペインを解消するための提案として「憂さ晴らし」となる何かが求められ、BAYCはそこを訴求するようなアピールで成功したモデルであるとも言えます。
クリプトの文脈、特にミームNFTの文脈では退屈と気晴らしとしての悪態はよく用いられるテーマです。表に現れてくるアナウンス戦略はターゲット層が誰であるかを表すものでもありますから、フロアプライスの妥当性然り、エンドユーザー層の分布然り、意識的に観察することでブランド戦略に活かせるインサイトが得られることもあります。
今回の関連記事②では主に退屈さとクリプトをテーマにしたエッセイを公開します。

HashHubについて

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