ICHI|なぜ$ICHIは市場リスクの影響をあまり受けなかったのか?その仕組みについて
2022年03月23日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- ICHI v2の概要
- v1とv2の違い
- ICHIプロジェクトの基本情報の整理
- DMAを補完するAngel Liquidity Vaults
- ただし、懸念されるリスクもある
- 総括
前提
本レポートでは、サードパーティのクリプトコミュニティ向け独自ステーブルコイン鋳造及びネイティブトークンの流動性管理をサポートする、ICHIプラットフォーム(以下ICHI)を概説します。
なお執筆時点のICHIにはv1とv2が存在しますが、本レポートでは後者のv2の仕組みに焦点を当てて解説を行います。
上図表は$ETHの過去180日間のドル建てでの市場価格推移を示したものです。
$ETHの市場価格推移にみられるように2021年11月中旬以降、暗号資産市場は全体的に冷え込んでいます。トークン価格にはさまざまなリスク要因が影響を与えますが、主な要因としては以下の2点が挙げられます。
- 市場リスク(世界情勢、セクター固有、ドメイン固有のリスクなど)
- プロジェクト固有のリスク
今回の暗号資産市場全体の冷え込みは主に前者の1が主因と考えられますが、加えてEthereum上のオンチェーンプロジェクトの場合は$ETHの影響を受ける場合もあります。その場合とはxy=k型のAMMでEthereum上の基軸通貨とも言えるETHペアが存在する場合であり、その仕組み上ペアとなるトークンは$ETHの価格下落に釣られて値下がりしてしまうことがあります。これはETHが下がった際にペアとなるトークンに十分な買い圧がなければアービトラージの機会が生まれてしまい、その結果アービトラージャーによってトークンが売却されるためです。
しかしそのような市況に対して、Ethereum上のオンチェーンプロジェクトICHIのネイティブガバナンストークン$ICHIの過去180日間のトークン価格推移(上図表)は、世界経済や$ETHの影響をあまり受けずに推移しているように見受けられます。その主な理由はICHIのDMAとAngel Vaultの仕組みが関係していると筆者は考えています。
Angel VaultはUniswap v3へのバイサイドの片側流動性を提供する流動性管理プロトコルであり、この仕組みが市場全体のボラティリティ、特にペアとなるトークン(多くの場合$ETH)の下落トレンドを吸収するように機能しています。またこのAngel Vaultに加えて独自のステーブルコインを鋳造する仕組みDecentralized Monetary Authority(以下DMA)も流動性管理に活かされています。
本レポートでは主にAngel VaultとDMAの仕組みを理解に焦点をあて、ICHI v2の全体像を概説します。
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