機関投資家マイナーの投資基準についてのレポート

目次

  • 前提
  • 機関投資家マイナーなどのマイニング事業における投資基準について
  • 総論

前提

前回のレポート(機関投資家による暗号資産のマイニング概況)においては昨今増加している機関投資家マイナーの概観および、機関投資家がマイニング産業に参入している事由について分析を行いました。
本レポートにおいては、機関投資家マイナーがマイニングへ投資する際の基準についての解説および、読者がこれからマイニング事業への参入の検討をする場合に気を付けるべき点などについて解説しています。

機関投資家マイナーなどのマイニング事業における投資基準について

ホビー感覚で個人が保有するPCのGPUを活用してマイニングをしているのであればマイナーなアルトコインをマイニングしてアップサイドを取りに行くなどというマイニングにおける戦略は取ることが可能ですが、機関投資家マイナーはデット・ファイナンスを活用してレバレッジをかけていることやエクイティの投資家へ説明責任があることから、マイニング事業の将来的なキャッシュフローを試算して、科学的にマイニングへの投資を決定する必要があります。
本章においては、機関投資家マイナーがどの様な投資基準に基づいて、マイニングへの投資を行っているのか、また、実際にマイニングへの投資を行う際にはどの様な点に注意をしたらいいのかを解説していきます。

マイニングの投資計画を作成するための基礎的条件

マイニング・オペレーションにおける潜在的なリターンは、従来のキャッシュフローに基づいた投資と同様に評価することが可能です。
マイニング・オペレーションの評価は将来キャッシュフローの合計値になり、ハイレベルなキャッシュフローは収益‐オペレーション・コスト(Revenue-Opex)となります。
具体的に1年間のマイニングによる収益を計算するには、総マイニング収益の式に保有するハッシュパワーのシェアを掛けることで算出することが可能です。
総マイニング収益 = ディフィカルティ × ビットコインの価格 × ブロック報酬 × 1年間において発行されるブロック数 + トランザクション手数料
また、オペレーション・コストには、電気代・人件費・ソフトウェア代・カストディフィー・保険代などが含まれますが、電気代が過半以上のコスト要素となります。
マイニングによる収益を維持するために、マイニングの開始時と一定の周期ごとにASICやマイニング・ファームなどへの設備投資(Opex)が必要となります。
設備投資額をキャッシュフローで回収するにはどの程度の期間が必要かを算出することが可能となります。
下図は著者が作成したマイニング収支におけるプロジェクションになります。当プロジェクションにおいては、ビットコインの価格を一定値で維持されるという前提のもとに試算しています。
※著者が作成したマイニング収支のプロジェクション例
プロジェクションを作成する目的は、投資検討をする際に複数のシナリオを作成し、投資パフォーマンスのアップサイドとダウンサイドを把握するためです。
そして極端なストレスをかけた前提条件の際のダウンサイド・リスクを許容できるか否かの検討を行います。そうすることで、パフォーマンスが悪いときに撤退する水準などを事前に考えておくことが可能となります。
また、中国のマイナー・コミュニティの間では、マイニング投資の評価方法として、損益分岐点を達成するまでの日数(Static days-to-breakeven)という手法が使われています。投資時点における条件をもとに、投資金額を回収するまでにかかる日数が365日以下であれば投資を行っても良いという基準で投資を判断しているようです。
なお、Static days-to-breakevenは以下の式により算出することが可能です。

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