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sCBDCと電子マネー 官民連携による中銀デジタル通貨「sCBDC」概観

2020年10月06日

目次

  • 前提
  • 決済手段の分類
  • 電子マネーの魅力と潜在的リスク
  • sCBDC概要
  • 総論

前提

本レポートでは、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の一形態であるsCBDC(Synthetic central bank digital currency)を概説します。
sCBDCとは、CBDCシステムを中央銀行が直接管理するのではなく、ステーブルコイン発行機関や電子マネー発行機関などの民間企業に幅広く業務を委託する官民連携型のCBDC発行形態です。2019年6月にIMF(世界通貨基金)のTobias AdrianとTommaso Mancini Griffoliが「THE RISE OF DIGITAL MONEY」でsCBDCの概念を提唱しました。
本レポートではsCBDCを理解する前提として、従来の現金や預金マネー、電子マネー、CBDC、ステーブルコイン等のデジタルマネーを決済手段として、いくつかの属性に応じて分類し、その整理を行います。我々の私生活に電子マネーが浸透し始め、従来の現金や預金マネーといった決済手段に代替される方法を日常的に用いる風景に対する違和感が薄れつつあります。同じ店舗で、ある人は現金を数え、ある人はカードをスワイプし、ある人はスマホ画面をかざし、近い将来には国債やゴールドに裏付けられたデジタルトークンで決済を行うといった風景も見られるようになるかもしれません。これら異なる主体が提供する決済手段は一様に同じ価値の尺度をもち、モノと交換できるという事実はあるものの、実際にはそのサービス提供者ごとのデフォルトリスクなどを踏まえると同一であるかどうかは疑わしく、暗黙の了解で同等のモノとして交換行為が行われています。
本レポートではそもそも電子マネーなどのデジタルマネーは、既存の現金や預金マネーとどのように異なるのか、そんな素朴な疑問とそこから導き出される電子マネーの潜在的リスクの可能性を探り、電子マネーのメリットとデメリット双方を理解することを目的とします。その上で、電子マネーの潜在的リスクを補完し、その利点を活かすために提案されたsCBDCを概説します。
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※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。