異なるプラットフォーム、異なるデジタル通貨によるクロスボーダー決済探索 | Jasper-Ubinプロジェクト概観
2020年07月05日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- クロスボーダー決済の課題|異なる管轄区域、異なる決済システム、異なる資産
- 異なるプラットフォーム間でのクロスボーダー決済|仲介業者を挟む、またはHTLCによりアトミック性を確保
- 信頼できる仲介業者を介した取引
- コミットメントを保証する技術的手段による取引
- 総論
前提
本レポートではBank of Canada(以下BOC)とMonetary Authority of Singapore(以下MAS)によるJasper-Ubinプロジェクトを概観します。
Jasper-Ubinプロジェクトは、異なるDLT(分散型台帳技術)ベース決済ネットワークの相互運用が普及した世界において、安全なクロスボーダー決済の実現やその実現により得られるメリットを検証するための実験的なプロジェクトです。
本プロジェクト名称を構成しているJasperはBOCによるCordaベースの銀行間決済ネットワーク、一方のUbinはMASによるQuorumベースの決済ネットワークです。本プロジェクトで注視したい点は異なる規格のブロックチェーン(または分散型台帳技術)の相互運用性の実現はもちろん、カナダとシンガポールという異なる現地通貨を持つ地域で如何にクロスボーダー決済を実現するかという点にあります。現在のクロスボーダー決済には決済状況の透明性欠如、処理時間、コスト、運用リスクなどに問題があるとされています。本プロジェクトの中で示されたモデルがこれらの課題に対する参考になるでしょう。※クロスボーダーであるため、取引当事者が存在する管轄区域の規制を考慮する必要もありますが本レポートではその点は取り扱いません。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。