Sila|EthereumとACH(全銀システムに相当)を接続する APIプラットフォーム概観
2020年04月18日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- Sila概要
- フィンテック系スタートアップが決済事業に参入しにくい環境
- Silaプラットフォームで構築された決済アプリ
- ACHへのアクセスを可能にする仕組み
- 日本の内国為替取引及びSilaの有用性考察
- 総論
前提
本レポートでは、米国ACHとEthereumブロックチェーンを基盤とした決済および銀行APIを提供するプラットフォームSilaを概観します。
ACH(Automated Clearing House)とは国内における全銀システム(一般社団法人全国銀行資金決済ネットワーク/全銀ネット運営)に相当する銀行間の資金決済を行うシステムです。米国にはACHの他に、Wire Transferという銀行口座間の送金システムも存在しますが、後者と比べると送金日数はかかるものの、その手数料の安さからACHを利用した公共料金の支払いや給与振り込みなど小切手に変わる決済手段として利用されています。
Silaの目的は大きく2つあり、1つはこのACHの送金処理にかかる日数を代替手段により短縮すること、2つ目はACHへのアクセスを仲介し、スタートアップ企業の決済事業参入のハードルを下げることにあります。
1つめの目的は24時間365日銀行間決済に対応した全銀システムがある我が国では、Silaの仕組みを応用したとしても送金スピードという点でUXの改善をもたらすとは考えにくいです。しかし2つめの目的については、現時点の我が国では金融機関以外の企業が全銀システムへのアクセスが難しいことや送金手数料が高いことを鑑みると、フィンテックの普及という点においてSilaの提案するSaaSモデルのソリューションには一定の有用性があるのではないかと筆者は考えます。またそれがフィンテック普及を促進するのであれば、間接的に顧客の金融体験向上にもつながるのではないでしょうか。
本レポートは主にスタートアップによる金融サービス構築の場としてSilaを取り上げ、その仕組みと有用性の理解を目的とします。
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