自律分散型ベンチャーキャピタルファンドThe LAO概観
2020年04月15日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- The LAOの目的|DAOの歴史から読み解く「資本形成」と「資金調達」
- 組織化の目的
- The DAOの誕生
- The DAOの失敗要因
- The LAOの法的構造|OpenLawツールを用いた法的契約書
- The LAOの会員は特定投資家に限定
- 会員権及び議決権を表すLAOトークン
- The LAOの運営方法|Moloch DAOの踏襲
- The LAOの資金管理方法
- 議決権
- 投資の意思決定方法
- Rage Quit
- 攻撃防止のための希釈化防止スクリプト
- 総論
- 【参照】
前提
本レポートは、米国の法律に準拠した自律分散型組織(DAO)であるThe LAOを概観します。
The LAOは米国法における特定投資家を構成メンバーとした自律分散型ベンチャーキャピタルファンド(有限責任会社)です。LAOの目的は従来とは異なる「資本形成」やプロジェクトの「資金調達」に新たな選択肢を加えることにあります。
これは2016年にEthereum上に構築されたThe DAO(Genesis DAOとも称される)が元々目指していたものと類似しています。The DAOはこの当時にそのアイデアからおよそ12.7億ETHもの資金調達に成功しましたが、2つの要因(法的要因、技術的要因)からプロジェクトは失敗に終わっています。The LAOは、このThe DAOの目的を引継ぎ、その失敗を元にして再構築されたプロジェクトであると筆者は捉えています。
本レポートではThe DAOの2つの失敗要因をどのように克服しようとしているのか理解するために、The LAOの目的、法的構造(法的要因)、運営方法(技術的要因)を概観します。
執筆時点ではThe LAOはローンチされておらず、2020年4月28日に発足する予定です。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。