AZTEC Protocolの概要 Ethereumオンチェーントランザクションの秘匿化ミドルウェア
2020年04月09日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- AZTEC Protocolの概要
- AZTECの7つの機能
- DAppsでAZTECを使用する場合の手順
- 証明の検証
- zkAsset Aへの転送指示
- 転送命令の処理
- 総論
前提
本レポートではEthereum上での秘匿トランザクションを可能にするAZTEC Protocolの概観を行います。AZTEC社はロンドンのスタートアップで、ConsenSys等の投資家から約2.1億円を調達しています。
最近ではEYをはじめとしてパブリックチェーンであるEthereumのメインネットをエンタープライズ用途で使おうとする事例が増えてきました。メインネットで機密情報を含むデータを扱えるのは、データの内容を公開せずに、そのデータの正しさを証明する方法の開発が進められているからです。
これはゼロ知識証明と呼ばれる方法です。企業がブロックチェーンを用いるときにプライベートチェーンを使うのは、①パブリックチェーンでは十分な処理数が保証できず、②全てのデータが公開されるパブリックチェーンでは機密情報を扱えないためです。
1秒間に扱えるトランザクションの数はAZTECではメインネットのTPS(15程度)の10%に留まりますが、Ethereum本体のアップデートによって必要なガス代は大幅に削減されています。去年のIstanbulハードフォークでアクティベートされたEIP-1108では、ゼロ知識証明の検証に使用される演算処理をより高速・安価に行うためのPrecompiled Contractが導入されました。
以下の2つのレポートで既に解説しているように、エンタープライズ用途でパブリックチェーンを使おうとする企業は既に複数あり、その中にはEYやMicrosoftなどの技術に強い大企業も含まれています。
それらの企業が前提にしているのがパブリックチェーンでのゼロ知識証明の活用です。Ethereumには以前よりEnigmaやTornado Cashなどのシークレットコントラクトやトランザクションのミキシングを提供しようとするプロジェクトがありましたが、最近になって存在感を高めているのが今回紹介するAZTEC Protocolで、JP Morganの自社プロジェクトの中でテストを行っていると報じられています。
以下ではAZTECの概要と主要な機能、ならびにDAppsに組み込む際の具体的なフローを概観します。
*レポート:Baseline Protocol概要 MicrosoftやEYらがイニシアチブを取るパブリックブロックチェーン上でビジネスを行うためのフレームワーク
https://hashhub-research.com/articles/2020-03-06-baseline-protocol-overview
https://hashhub-research.com/articles/2020-03-06-baseline-protocol-overview
*レポート:企業間のERP共有を推進するUnibrightの概要
https://hashhub-research.com/articles/2020-04-04-unibright-overview
https://hashhub-research.com/articles/2020-04-04-unibright-overview
参照:JP Morgan Is Quietly Testing Cutting-Edge Ethereum Privacy Tech
https://www.coindesk.com/jp-morgan-is-quietly-testing-cutting-edge-ethereum-privacy-tech
https://www.coindesk.com/jp-morgan-is-quietly-testing-cutting-edge-ethereum-privacy-tech
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。