深セン市(深圳市)とTencentによるブロックチェーンを用いた 電子領収書発行システムの概観
2020年02月24日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- はじめに
- 中国における領収書「発票 (ファーピャオ)」とは
- ブロックチェーンを用いた電子領収書の仕組み・メリット
- 電子領収書に関する過去の取り組み
- ベースとなっているTencentのBaaS “TBaaS”
- 今後の展望
- ・深圳市の完全電子化へ向けた取り組み
- ・対象となる発票タイプの増加
- ・類似サービスを提供する事業者の増加
- 参考文献・Special Thanks
はじめに
2018年8月10日、中国・深セン市内のレストランで、中国初のブロックチェーン電子領収書が発行されたことが話題になりました。
深圳市税務局とTencentは、同年5月から人工知能・ブロックチェーン・ビッグデータなどの先進技術の税務面での応用を研究する「智能税 (Smart Tax)」プロジェクトを進めてきました。ブロックチェーン電子領収書は、共同研究の注力領域のうちの一つであり、わずか3ヶ月で共同研究が実用化されたということになります。
このブロックチェーン領収書発行システムは、第一号の領収書が発行されたレストラン (国贸旋转餐厅) の他に、市営スタジアムの駐車場や、自動車修理工場、Tencent直営のカフェで、最初に採用されました。その後ブロックチェーン領収書は急速な広がりを見せ、2019年12月時点では、パシフィックコーヒー (太平洋咖啡) などの飲食店、WalmartやPAGODA (百果园) などの小売店など、市内52のチェーン店で利用可能となっているほか、高速鉄道の深セン北駅やタクシーなどの交通機関にも拡大している。ローンチから1年4ヶ月の期間で、発行されたブロックチェーン領収書は1500万枚、額面で96.4億元にものぼり、一日あたり平均利用者は2万人に達しています。
▲深センの国贸旋转餐厅で発行された全国初のブロックチェーン領収書
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。