PoSのジレンマと流動性のリスクをレンディングと寡占化から考える
2019年12月19日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- Executive Summary
- レンディングを経由した攻撃
- セカンドレイヤー上の攻撃
- PoSのジレンマと流動性のリスク
- 総論
前提
本レポートでは、Proof of Stakeを採用しているブロックチェーンへの攻撃手法について概観していきます。少し前に『How DeFi cannibalizes PoS security』という記事が公開され、Vitalik ButerinやEric Connoarが意見を寄せました。これは “ブロックチェーンへのステークによって得られる利回りよりも高い利回りをレンディングプラットフォームで実現することができれば利己的なバリデータは資産をブロックチェーンからレンディングプラットフォームに移すので、ブロックチェーンのセキュリティが弱まる” というものです。
また、MakerDAOは “比較的少数の大口MKRホルダーが、ガバナンスシステムを悪用することによって、MakerDAOに担保としてロックされている資産を盗むことができる” という指摘を受けて、ガバナンスのシステムに変更を加える投票を行っています。
Executive Summary
- 前者の指摘はおそらくETH2.0には当てはまらないが、供給量固定型のPoSチェーンには当てはまるものもあると推測される
- MakerDAOは指摘を受けて予防策を講じている
- そもそも、MakerDAOは既知の通りMKRホルダーによってガバナンスが行われるため、MKRによって影響力を行使するMKRホルダーによってシステムが毀損される可能性はいつでもある
これらの欠点は特に新しいものではなく、PoSを採用しているブロックチェーンがまだ少なく、PoWが主流であった時代から指摘されていたものです。しかしPoSを採用することが当然のようになってから界隈に参加した方の中には馴染みのないものもあると思いますので、この機会にPoSの問題点をおさらいしながら、これらの攻撃内容を説明します。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。