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Ethereum上のミキシングアプリケーションであるHopperの解説。一般ユーザーのためのプライバシー技術

2019年06月27日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)

目次

  • 前提
  • ミキシング技術とは何か
    • 1.中央集権によるミキシングサービス
    • 2.P2Pでのミキシング
    • 3.マスターノードによるミキシング
  • Hopperの仕組み
    • 手順①
    • 手順②
  • Hopperやその他のミキシングサービス使用の注意点
  • 総論

前提

本レポートでは、Ethereum上のミキシングアプリケーションであり、スマートコントラクトとゼロ知識証明を応用して開発されているHopperの解説します。
多くの人が知る通り、パブリックブロックチェーン上のトランザクションは全て公開されており、これは一般利用においてもプライバシーを損ねています。
これは多くのブロックチェーンが抱える課題ですが、この点においてEthereumはBitcoinよりプライバシーの課題が、主に2つの理由で深刻であると言えます。
まず1つは、アカウントベースのブロックチェーンであることです。Bitcoinの場合は、UTXOベースでまだ使用していないBitcoinと公開鍵のセットがブロックチェーン上に記録されます。
この場合、簡単に階層的に公開鍵を生成できるHDウォレットで、取引履歴のないアドレスが実質的無限に生成できます。
これは筆者が、ある取引相手からBitcoinを受け取りたいという時に、単一の秘密鍵から階層的に公開鍵を生成することで、取引相手から資産額やこれまでのトランザクション履歴を見せなくてよくなります。
つまり、日常使用における最低限度のプライバシーを確保できます。 
これに対して、Ethereumの場合は、アカウントベースのブロックチェーンであり、各ユーザーが単一のアカウントを所有し、そのアカウントが保持するStateがブロックチェーン上に常に記録されます。
この場合、受け取りの公開アドレスからは、保有資産や支払い履歴が全て取引のカウンターパーティーの開示されてしまいます。
つまり現状のままではStablecoinを少し使うだけでも、多くのユーザーが求めているプライバシーはEthereumには確保されていません。
2つ目にEthereumのプライバシー課題で大きい点として、Bitcoinと比較にならないほどにアプリケーションが活発なことです。
EthereumではDeFiに総称される金融系のアプリケーションが活発で、様々なアセットが発行されています。
ちょっとした取引を友人とするだけでも、その友人と友人個人のアドレス情報が紐付いた瞬間に過去のトランザクション履歴やトークンを含む保有資産が明らかになってしまいます。
この点でEthereumでは、一般ユーザーのためのプライバシーを保護する技術が整備されているとは言い難く、それはBitcoin以上に深刻です。
今回解説するHopperは、一般ユーザーのためのプライバシー技術であると言えます。
Hopperは、コントラクトウォレットのプロバイダであるArgentが開発をするミキシングサービスであり、Ethereum上でコンシュマーサービスを提供する企業が一般ユーザーをターゲットにしたプライバシーサービスとしては、初めての事例ではないかと思います。
Argentについては下記のレポートで解説しています。
*レポート:Ethereumのコントラクトウォレットの解説。これから大きく変わるウォレットの仕組みとユーザー体験について
https://hashhub-research.com/articles/2019-05-23-contract-wallet-overview
本レポートでは、同プロジェクトの仕組みや概要について解説します。
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