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寄稿レポート:先行研究の調査を通じて考える学問としてのCryptoeconomics

2018年12月23日

目次

  • Cryptoeconomicsはメカニズムデザインに分類出来る
  • Cryptoeconomicsは15年以上前から類似の概念が存在する
  • Cryptoeconomicsはトークン形式の報酬が新規性である
  • おわりに
  • 各トピックに関する補足資料
  • 参考文献
本レポートの目的は、最近多く言及されるようになったCryptoeconomicsという概念について、先行研究の調査を通じて学術的な位置付けを明確化することです。Cryptoeconomicsはビットコインに代表される暗号通貨が持つ新規性を端的に示す重要な概念である反面、現状では技術者達による発表や寄稿にて散発的に紹介されるに留まっており、明確な定義が存在し広く共有されている訳ではありません。そのため、学術的な観点から関連する議論を整理することには一定の意義があるでしょう。
具体的に、まずはCryptoeconomicsに触れている数少ない論文の1つであるDavidson et al.(2016)を引用しながら、この概念がメカニズムデザインの研究分野に分類出来る点を指摘します。次に、主要なサーベイ論文の要旨を示しつつ、Web工学の分野においてCryptoeconomicsに極めて近い概念が2000年代前半には既に提唱されていた点を指摘します。そして最後に、過去の議論ではカバーされていないCryptoeconomicsの新規性がトークン形式の報酬にある旨を指摘します。
直感的な理解を優先すべく、本レポートは全体像の説明に注力しており、先行研究における主要な概念や代表的なモデルに関して数式を交えた詳細な説明は行っておりません。代わりとしてレポートの最後にオンラインで閲覧可能なものを含むいくつかの資料リストを付記しているので、もし議論をより詳細に確認したい場合にはそれらをご参照いただければと思います。
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※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。