NEARの『インフレ半減』――価格安定か、分散性崩壊か

2025年10月27日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
NEARは2020年のメインネット稼働から、すでに約5年が経過。
 「ETHキラー」の一角として期待された出発点から、いまやクロスチェーン流動性、プライバシー資産、そしてオンチェーンAI経済の土台へ――役割は大きく広がりました。節目の5周年を機に、エコシステムは新たなトークノミクスを提示しています。
今回の柱は三つです。
  1. インフレ率の抑制:現行約5% → 2.5%へ。
  2. 小規模バリデータ支援
  3. veNEARインセンティブ強化
しかし、インフレ抑制は万人にとって「善」ではありません。歓迎する立場もあれば、痛みを受ける立場もある。とりわけバリデーターやステーキングプロバイダーにとっては、インフレ率の半減はすなわち報酬の半減(※1)を意味します。反発の声が上がるのは必然でしょう。
※1.年間インフレ率5%のうち、9割がバリデータへの報酬、残り1割はプロトコル/トレジャリーに分配されます。
本稿の論点はシンプルです。
「インフレ抑制策は果たして受け入れられるのか。それとも、フォークのように望ましくない結果を招くのか。」
この問いに解像度を与え、NEARの行方を見通すことが本稿の狙いです。
 そのために、以下の流れで論じていきます。
  • これまでの戦略の軌跡を手短に振り返る
  • 現状の課題を洗い出す
  • その帰結としてのインフレ抑制策を整理する
  • さらに利害関係者の立ち位置を描き出す
では、なぜNEARはいま、この提案に踏み切ったのか。
答えを探るために、まずは出発点から見ていきましょう。
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