アメリカがクリプトで描く国家としての国際金融戦略、日本への示唆
2025年08月08日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- 米国はなぜ「プロジェクト・クリプト」を発表し、オンチェーン経済をフロンティアと位置づけるのか
- 日本への示唆
- 総括
前提
最近、米国が、「プロジェクト・クリプト」という目論を発表し、今後、クリプト領域において大規模な規制緩和を行うこと、新しい金融環境を構築する道筋を示しました。その内容は下記にまとめています。
本計画は米国の金融市場を「オンチェーン環境」へと移行させ、デジタル時代における新たな覇権を確立しようとする壮大な計画です。
すでに上述のリンク先で、その内容自体は解説しているので、今回はなぜ米国はこの計画を発表し、どのような国益に繋がる可能性があるかを考えます。またそのアクションを取れていない日本の反省点についても論じます。
米国はなぜ「プロジェクト・クリプト」を発表し、オンチェーン経済をフロンティアと位置づけるのか
端的に、アメリカがオンチェーン経済を後押しするのは、ドル経済圏の完全に新しいフロンティアだからです。この経済圏が膨れ上がれば、膨れるほど、米国債の新しい買い手になるのはこれまで触れられている通りです。ステーブルコインの発行体が米国の国債需要家として存在感を増して、その保有規模はドイツと並ぶほどになっているというのは昨年から触れています。米国は財政懸念や非西側諸国のデカップリングにより以前と比べて国債の消化が難しくなっていて、この新しい需要は極めて重要です。ステーブルコイン法案が推し進められた背景でもあります。
関連レポート:暗号資産経済圏の拡大が、ドル経済の拡大につながる理由
さて、これをもう一度深堀りしたいです。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。