機関投資家向け暗号資産取引所・Bullish( BLSH)の分析
2025年10月13日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- 直近業績
- なぜタイトなスプレッドが実現できるか(オーダーブックとAMMのハイブリッドの仕組み)
- 今後の成長カタリスト・株価評価
- 総括
前提
今回は、機関投資家向け暗号資産取引所・Bullish( BLSH)の分析を行います。
同社は2025年8月13日にニューヨーク証券取引所でIPOをして、その後株価が大きく高騰しました。またIPO調達資金の$1.15bnを全額ステーブルコインで受領したと発表しています。
同社の主な事業は以下の通りです。
- 機関投資家向けの暗号資産プラットフォーム。自社のマーケットメイキング機能(オーダーブック×AMMのハイブリッド市場構造)でタイトなスプレッドを実現し、スポット取引とカストディを提供。
- データ/メディア:グループ内にCoinDesk(メディア/イベント/インデックス)を保有。投資家・機関向けの情報接点を強化し、事業間シナジー(送客・ブランド)を狙う。F-1でもグループ構成として言及。CoinDeskは価格データや指数を持っているので、今後それをデリバティブの参照値にしたり、インデックス商品として展開することを示唆しています。
- 機関投資家向けのサービスを強化予定。2025/9/17にNYDFSのBitLicenseを取得。米国ではまずスポット取引+カストディから展開を予定している。デリバティブは別規制であるが、これも対応次第でサービス展開する示唆をしています。
Bullishの会社としての沿革についても少し特殊な点があるので触れておきます。
過去Block.oneという企業が2017年から2018年にICOで約40億ドルの資金調達に成功しました。この目的は新しいスマートコントラクトブロックチェーンのEOSを開発することでしたが、当時はICOバブルで資金を集めすぎて使い切れずにいました。
そしてそのBlock.oneはBullish Globalを設立し、同時に新たな100億ドルの資金枠と著名投資家(Peter Thielほか)参加を発表して、今の事業に至ります。当然EOSのトークンセール投資家は、Bullishの利益享受は出来ないわけですが、この点はあまり問題視されていません。Bullishの株を新規で購入する投資家にとっては無関係の話ですが、トークン投資家にとってはトークンはいかに投資家としての権利が担保されていないかを証明する良い事例といえます。
Thomas W. Farley(元NYSE社長)がCEOで、Block.oneのBrendan Blumerが会長を務めています。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。